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丸山林平「定本古事記」

- 上巻 -

【 神代の物語 】

原 文
來悉召二│集和邇魚、問曰、今天津日高之御子癪捏津日高、爲レ將レ出二│幸上國。誰隅幾日膣奉而覆奏。故、各、隨二己身之尋長、限レ日而白之中、一尋和邇白、僕隅一日膣來裝來。故爾、告二其一尋和邇、然隅汝膣奉。若渡二恭中一時、無レ令二惶畏。來載二其和邇頸一膣出。故、如レ期、一日之触膣奉也。其和邇將レ羮之時、解二館レ佩之紐小刀、著二其頸一而羮。故、其一尋和邇隅、於レ今謂二佐比持突一也。
読み下し文
即ち悉に和邇魚どもを召び集へて、問ひて曰ひけらく、「今、天津日高の御子虚空津日高、上つ国に出幸でまさむとす。誰は幾日に送り奉りて覆奏さむ。」と、いひき。故、 各、己が身の尋長の随に、日を限りて白す中に、一尋和邇白しけらく、「僕は、一日に送りまつり、即ちに還り来む。」と、まをす。故爾、其の一尋和邇に告りしく、「然らば汝送り奉れ。若し海中を渡る時に、な惶畏せまつりそ。」と、のりて、即ちに其の和邇の頸に載せまつりて、送り出しまつりき。故、期りしが如、一日の内に送り奉りき。其の和邇返らむとせし時に、み佩かせる紐小刀を解かして、其の頸に着けて返したまひけり。故、其の一尋和邇をば、今に佐比持神とは謂ふなり。
丸山解説
〔和邇魚〕わに。下に「和邇」とあるに同じ。鰐であり、crocodileであること、上に述べてある。決して、鮫や鱶などではない。常世の国への交通は、鰐・亀などの水棲動物によることも、上に述べてある。紀の一書によれば、火遠理命は、往きにも鰐の背に乗っている。〔上國〕うはつくに。紀に「上国、此云二羽播豆矩酋。」とある。日本本土を尊重して言った語。シナで、地方の属国から中原の地を尊重して「上国」と称した。「主国」の意である。
田中孝顕 注釈

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