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丸山林平「定本古事記」

- 上巻 -

【 古事記上巻忸序 】

原 文
(古事記について)
丸山解説
〔古事記〕ふるごとぶみ。音読して「こじき」と呼びならわされているが、古訓としては「ふるごとぶみ」と読むべきである。「日本書紀」にしても、古訓は「やまとぶみ」である。チェンバレンの英訳古事記も、音訳して、"THE KOJIKI"とし、意訳して"Record of Ancient Matters"としている。〔上巻〕これまた「かみつまき」と読むべきである。〔忸序〕ならびにまへがき。真本・詳本・春本等は「序忸」に作る。いま、前本・延本・底本等に従う。「忸」の本来の訓は「あはす」であり、延本等は「忸レ序」と訓じている。しかし、「忸」と「竝」とは、ほとんど同音同義であり、記伝も言うごとく「ならびに」と訓じてよい。「序」は「おくがき」の対であるから「まへがき」と訓ずることとする。
☆さて、この序文は、記の本文とは、いちじるしく趣を異にし、純然たる漢文体であり、漢文的潤色や漢文的対句などを多く用いているから、読みも自然に漢文的な読みとならざるを得ない。しかし、できるだけ「やまとことば」で読むことが望ましい。ことに、紀と同一の語句などは、紀の訓に従う方がよい。たとえば「臣」を「やつこ」、「陰陽」を「めを」、「海水」を「うしほ」と訓ずる類である。他は後世の漢文流の読みに従うのもやむを得ないが、これをもって、記の本文の読みを律すべきでないこと、言うまでもない。たとえば、上代語には「ン」の音は存在しないが、序文に限り、これを許す類である。
田中孝顕 注釈

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