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丸山林平「定本古事記」

- 中巻 -

【 垂仁天皇 】

原 文
樸、隨二其后之白、喚二│上美知能宇斯王之女等、比婆須比賣命、筱弟比賣命、筱歌凝比賣命、筱圓野比賣命、忸四柱。然、留二比婆須比賣命・弟比賣命二柱一而、其弟王二柱隅、因二甚凶醜、羮二│膣本土。於レ是、圓野比賣、慚言、同兄弟之中、以二姿醜一被レ裝之事、聞二於隣里、是甚慚而、到二山代國之相樂一時、孚二│懸樹枝一而欲レ死。故、號二其地一謂二懸木、今云二相樂。樸、到二弟國一之時、蒹墮二峻淵一而死。故、號二其地一號一墮國、今云二弟國一也。
読み下し文
樸、其の后の白したまへる随に、美知能宇斯王の女等、比婆須比売命、次に弟比売命、次に歌凝比売命、次に円野比売命、忸せて四柱を喚上げたまひき。然れども、比婆須比売命・弟比売命の二柱を留めて、その弟王二柱は、甚凶醜かりしに因りて本つ土に返し送りたまひき。是に、円野比売、慚ぢて言ひけらく、「同じ兄弟の中に、姿醜きを以て還さゆる事、隣里に聞えなば、是は甚慚し。」と、いひて、山代国の相楽に到りし時、樹の枝に取り懸りて、死なむとぞ欲ひける。故、其地を号づけて懸木とは謂ふなり。今は相楽と云ふ。樸、弟国に到りし時、遂に峻き淵に堕りて死りき。故、其地を号づけて堕国とは謂ふなり。今は弟国と云ふ。
丸山解説
〔喚上〕「めさぐ」は「めしあぐ」の約。宮中に召し入れる。〔美知能宇斯王〕真本は「知」を「和」に誤る。これ同本が、上巻、沼河日売の歌謡に「知杼理」を「和杼理」に誤り、これを正しいと見る人を生じた所以である。真本は、誤りの多い本であることを銘記すべきである。〔比婆須比賣命〕「ひばすひめ」の非なること、上に述べてある。「婆」を「ハ」と訓ずる例は、記に多い。紀の「日葉酢江」である。〔歌凝比賣命〕うたこりひめ。底本は「凝」を「疑」に誤り刻す。名の義、未詳。
田中孝顕 注釈

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