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丸山林平「定本古事記」

- 下巻 -

【 雄略天皇 】

原 文
爾、大后歌、其歌曰、 夜揺登能 許能多氣知爾 古陀加流 伊知能綾加佐 爾比那閉夜爾 淤斐陀弖流 波豐呂由綾揺綾婆岐 曾賀波能 比呂伊理揺志 曾能波那能 弖理伊揺須 多加比加流 比能美古爾 登余美岐 多弖揺綾良勢 許登能加多理碁登母 許袁婆 來、天皇、歌曰、 毛毛志紀能 淤富美夜比登波 宇豆良登理 比禮登理加氣弖 揺那婆志良 袁由岐阿閉 爾波須受米 宇豆須揺理韋弖 豆布母加母 佐加美豆久良斯 多加比加流 比能美夜比登 許登能加多理碁登母 許袁婆 此三歌隅、天語歌也。故、於二此豐樂。譽二其三重区女一而、給二多レ燃一也。
読み下し文
爾に、大后歌みしたまひける、其の歌に曰りたまひけらく、 (一〇一) 大和の この高市に 小高る 市の阜 新嘗屋に 生ひ立てる 葉広ゆつ真椿 其が葉の 広りいまし 其の花の 照りいます 高光る 日の御子に 豊御酒 奉らせ 事の語り言も 此をば 即ち、天皇、歌曰みしたひけらく、 (一〇二) ももしきの 大宮人は 鶉鳥 領巾とりかけて まなばしら 尾行き会へ 庭雀 うずすまりゐて 今日もかも 酒水漬くらし 高光る 日の宮人 事の語り言も 此をば 此の三つの歌は、天語歌なり。故、此の豊楽に、其の三重の釆女を誉めたまひて、燃多に給ひけり。
丸山解説
〔多氣知〕高市。「たかいち」の約転。「たか」は「集る」の「たか」、「いち」は四方八方から人の集まるところの意。すなわち、人の多く集まって、にぎわう地。市街。都会。皇都。ここは「皇都」である。大和の郡名高市(今の高市)も、もと市街の意であるが、ここは、その郡名ではない。神代紀、上、一書に「会三八十万神於二天高市一而問之。」とあるのは、南天原の集会所である。〔古陀加流〕小高る。「小高かる」の下の「か」を省いた言い方。「少し高い」意。
田中孝顕 注釈

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