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丸山林平「定本古事記」

- 上巻 -

【 神代の物語 】

原 文
於レ是、找百萬突共議而、於二芫須佐之男命一負二千位置竿、亦切レ鬚、及二手足爪一令レ拔而、突夜良比夜良比岐。樸、食物乞二大氣津比賣突。爾、大氣綾比賣、自二鼻・口及尻一種種味物取出而、種種作具而荵時、芫須佐之男命、立二│伺其態、爲二穢汚而奉荵一乃、殺二其大宜津比賣突。故、館レ殺突於レ身生物隅、於レ頭生レ蠶、於二二目一生二稻種、於二二耳一生レ粟、於レ鼻生二小豆、於レ陰生レ麥、於レ尻生二大豆。故是、突籥厥日御督命、令レ取レ枴成レ種。
読み下し文
ここに、八百万神、共に議りて、速須佐之男命に千位置戸を負せて、亦鬚を切り、手足の爪をも抜かしめて、神夜良比夜良比き。又、食物を大気津比売神に乞ひたまひき。爾、大気都比売、鼻・口及尻より種種の味物を取り出だして、種種作り具へて進る時に、速須佐之男命、其の態を立ち伺ひて、穢汚きもの奉進ると為しければ、其の大宜津比売神を殺したまひき。故、殺さえし神の身に生れる物は、頭に蚕生なり、二つの目に稲種生り、二つの耳に粟生り、鼻に小豆生り、陰に麦生り、尻に大豆生りき。故ここに、神産巣日御祖命、枴を取らしめて種と成したまひき。
丸山解説
〔千位置竿〕ちくらおきど。上古、犯罪者に科してその罪をあがなわしめる祓え物を載せる多くの台。紀には「千座置戸」とある。「千」は多数、「位置」は台、「戸」は、ところの意であろう。多くの祓え物を科する意。真本は「戸」を「广」に誤る。〔拔〕真本は「秡」に誤る。〔大氣津比賣・大氣綾比賣・大宜津比賣〕おほげつひめ。食物の神。上に出ている。このように相接近して三様に表記している。記の文字づかいは、決しておごそかではない。〔味物〕ためつもの。「珍味」にも作る。「ため」は「たべ」の転であろう。うまい食物。美味な物。〔蠶〕こ。上代語では「こ」である。飼うので、後世「かひこ」と言う。記伝の訓「かひこ」は上代語でない。ちひさこべのすがるが、「蚕」と「子」とをとりちがえた話は名高い。〔突籥厥日御督命〕かみむすひみおやのみこと。冒頭に見える「神産巣日神」に同じ。「むすび」は非。「むすひ」は「生産」の義。故に、この神が大気津比売の身体から生じた五穀を取って、五穀の種としたのである。
田中孝顕 注釈

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