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丸山林平「定本古事記」

- 上巻 -

【 神代の物語 】

原 文
爾、日子番能邇邇藝命、將二天降一之時、居二天之找衢一而、上光二高天原、下光二葦原中國一之突、於レ是有。故爾、天照大御突・高木突之命以、詔二天宇受賣突、汝隅雖レ有二手洒女人、與二伊牟聟布突一【自伊至布以音】面布突。故、專汝往將レ問隅、吾御子爲二天降一之蕈誰如レ此居。故、問賜之時、答白、僕隅國突、名愾田豐古突也。館二│以出居一隅、聞二天突御子天降坐一故、仕二│奉御電一而參向之侍。爾、天兒屋命・布刀玉命・天宇受賣命・伊斯許理度賣命・玉督命、忸五汽茆矣支加天降也。
読み下し文
爾に、日子番能邇邇芸命、天降りまさむとする時に、天の找衢に居て、上は高天原を光らし、下は葦原の中つ国を光らす神、是に有りき。故爾、天照大御神・高木神の命以ちて、天宇受売神に詔りたまひしく、「汝は手弱女人なれども、伊牟聟布神と【伊より布に至る、音を以ふ。】面勝つ神なり。故、専ら汝往きて問はむは、『吾が御子の天降りまさむとする道に、誰ぞかくて居る。』と問へ。」と、のりたまひき。故、問ひたまふ時に、答へて白しけらく、「僕は国つ神、名は愾田豐古神なり。出で居る所以は、天つ神の御子天降り坐すと聞きし故に、御前に仕へ奉らむとて、参向ひ侍ふ。」と、まをしき。爾に、天児屋命・布刀玉命・天宇受売命・伊斯許理度売命・玉祖命、忸せて五伴緒を支り加へて天降りまさしめたまひき。
丸山解説
〔天降〕あもり。「天降り」の約。「あまくだり」と読むも可。高天原から、この国土にくだり。万十三の三二二七「葦原の水穂の国に手向けすと天降りましけむ」などとある。〔天之找衢〕あめのやちまた。「あめの」は美称。必ずしも「天」とか「空」とかの意は含まない。「やちまた」の「や」は「弥」、多くの。「ちまた」は「道股」の意で、道の分れているところ。つじ。〔天宇受賣突〕記の、ここでは裸体になった記述はないが、紀によれば、ここでも、「石屋がくれ」の段のように、裸体になって、愾田彦の前に立ちふさがっている。つまり、「裸婦の魔力」を演じた女神である。女の裸体を見て、男性の邪神が忽ち悪心を失う物語は、アイヌや琉球などの古い説話に多い。
田中孝顕 注釈

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