- え -
え[兄] |
(名)長・兄・姉の義。「おと」の対。大兄(おほえ)。兄君(えきみ)。兄比売(えひめ)。
|
え |
(助詞)呼びかけまたは感動の意を示す終助詞。「よ」に同じ。東国の方言。万葉、[20-4340]「父母え斎(いは)ひて待たね筑紫なる水漬(みづ)く白玉取りて来(く)まで 防人の歌」 |
えんばいのしん[塩梅の臣] |
(名)補佐の臣。良臣。太平記、十二「地に天降って塩梅の臣と成って群生を利し給ふ」
|
えんぶ[厭舞] |
(名)舞楽のはじめに奏する舞。三度鋒を振って、邪鬼を降伏し、災殃を消す姿で行う。えぶ。
|
えんぶ[閻浮] |
(名)「えんぶだい」の略。 |
えんぶあいしふのつな…シユウ…[閻浮愛執の綱] |
(句)仏教で、この世の絆。親子・夫婦などの愛着の情。平家、十、首渡「閻浮愛執の綱つよければ、浄土に願はむもものうし」 |
えんぶだ[閻浮堤] |
えんぶだい[閻浮堤]の略 |
えんぶだい[閻浮堤] |
(名)梵語 Jambu-dvipaの音写。仏教の思想で、はじめは印度全域、仏教の伝播とともに人間の住む世界全般の意となる。えぶ。えんぶ。えんぶだ。神皇正統記、三「転輪の威徳を得て、閻浮堤を統治す」
|
えんぶだんごん[閻浮檀金] |
(名)仏教で、閻浮樹林を流れる川から採った黄金の意。一説に、白金ともいう。平家、二、善光寺炎上「龍宮城より閻浮檀金を得て」
|
えんり[厭離] |
(名)この世を厭うて離れること。雨月物語、一、白峰「さりとて、いかに迷はせ給ふや。濁世を厭離し給ひつることの羨ましく侍りてこそ、今夜の法施に随縁し、奉るを」 |
えんりゑど…エド[厭離穢土] |
(名)このけがれた世を厭い離れること。古今著聞集、十三、哀傷「この御事などを見て、厭離穢土の心もなからむほどの人は」 |
えんをむすぶ…オ…[縁を結ぶ] |
(句)(1)縁組をする。(2)仏教でいう結縁(けちえん)で、仏の道に縁をつなぐ。方丈記「仁和寺に隆暁法師といふ人、斯くしつつ数も知らず死ぬることを悲しみて、そのかうべの見ゆるごとに、ひたひに阿字をかきて縁を結ばしむるわざをなむせられける」 |
えい[纓] |
(名)冠の具。もと、巾子の根元を括った上緒(あげを)の結び余りを、二枚後方に垂らしたもの。のち、形式化して、一枚の羅を張ったものを巾子の後ろにさしこむようにしたもの。枕草子、十「明きたるやり戸の前を過ぐとて、えいをひきこして、顔にふたぎて過ぎぬるもをかし」
|
えいきう…キユウ[?糾] |
(名)めぐりめぐること。雲萍雑志、三「山河すべて?糾して、数里の間に屈曲し」
|
えいきょく[郢曲・詠曲] |
(名)平安時代中期および末期における歌曲の総称。神楽・催馬楽・東遊・風俗歌・今様・宴曲・朗詠等、すべて曲節をつけて歌うものの総称。唱歌。
俗曲。徒然草、十四段「梁塵秘抄の郢曲のことばこそ、またあはれなることは多かめれ」⇒りやうぢんひせう。
|
えいぐわものがたりエイガ…[栄花物語・栄華物語] |
(書名)仮名まじり文の歴史物語。宇多天皇の寛平年間から堀川天皇の寛治六年(1092)に至る百八十余年間の編年体の史書で、主として藤原道長の栄華を中心として叙したもの。書名も、ここに基づく。またの名を「世継」という。「大鏡」も「世継」と呼ばれるが、古くはもっぱら「栄花」を「世継」と呼んだ。著者も作代も、諸説があって、はっきりしない。「大鏡」より前に出たものと信じられている。そうすれば、いわゆる歴史物語の最初のものである。 |
えいごゑ…ゴエ[えい声] |
(名)「えい、えい」というかけ声。宇治拾遺、一、鬼にこぶ取らるる事「すぢりもぢり、えいごゑを出して一庭を走りまはり舞ふ」 |
えいさう…ソウ[詠草] |
(名)和歌の草稿。 |
えいざん[叡山] |
(地名)「比叡山」の略。古今著聞集、二、釈教「件の御衣等、今に叡
山根本中堂の経蔵にあり」
|
えいず[詠ず] |
(動、サ変)(1)詩歌などを朗吟する。うたう。(2)詩歌などをつくる。詠
(よ)む。平家、六、小督「小鹿鳴くこの山里と詠じけむ嵯峨のあたりの秋のころ、さこそはあはれにも覚えけめ」
|
えいせん[頴川] |
(地名)中国の河南省にある川。堯の時代に堯が天下を許由にゆずろうとしているということを許由が聞き、潔癖の許由は耳の汚れとして、この川の水で耳を洗ったという話がある。平家、二、教訓「されば、かの頴川の水に耳を洗ひ、首陽山にわらびを折りし賢人も、勅命背き難き礼儀をば存ずとこそ承はれ」
|
え[縁] |
(名)えん。えにし。ゆかり。和泉式部日記「かかれどもおぼつかなくとも思ほえずこれも昔のえにこそあるらめ」
|
えいたい[纓帯] |
(名)冠の紐と帯と。⇒えい(纓)。 |
えいたい[永代] |
(名)ながい年月。永世。古今著聞集、一、神祓「国に屋敷など永代かぎりてあて給ひけり」(子子孫孫に至るまでの意)
|
えいふう[英風] |
(名)すぐれた徳。古事記、序文「英風を敷きて国を弘めたまひき」 |
えいぶん[叡聞] |
(名)天子のお耳に入ること。保元物語、一「武士ども入洛の由叡聞に及ぶ間」
|
えいゆう[英雄] |
(名)(1)才知・能力のすばらしい大人物。(2)「英雄家」の略。清華。
平治物語、一「当家は、させる英雄にはあらざれども」
|
えいゆうけ[英雄家] |
(名)清華。⇒せいくわ。
|
えいらん[叡覧] |
天子が御覧になること。謡曲、鶴亀「不老門にて月日の、光を天子の叡覧にて」
|
えいりょ[叡慮] |
(名)天子の御心。天子の御感じ。宸禁。保元物語、一「一の宮重仁親王を位に即け奉らむとや思し召しけむ、叡慮はかりがたし」
|
えうえうヨウヨウ |
(感)苦しんで、むせぶ声。宇治拾遺、十三「大なる骨、喉に立てて、えうえうといひけるほど」 |
えうえうたりヨウヨウタリ[夭夭たり] |
(形動、タリ)若くて美しい。太平記、三十七「夭夭たる桃の花の、暁の露を含んで、墻より余る一枝の、霞に匂へるが如くなり」 |
え[宴] |
(名)さかもり。酒宴。堤中納言物語「三月しもの十日京極の藤の花えし侍りける時」
|
えうきやくヨウ…[要脚] |
(名)「要」は「腰」、「脚」は「足」。必要で大切であることから「銭」の意となる。今日でも「銭」を「お足」などという。(1)金銭。費用。太平記、三十九「この所は毎年維摩会の要脚たるのみあらず、一寺の学徒これを以て朝三の資を得て」(2)税金。太平記、三十五「寺道場に要脚を懸け、僧、物施料をむさぼる事を業とす」 |
えうきょくヨウ…[謡曲] |
(名)⇒うたひ。 |
えうげつヨウ…[妖?] |
(名)怪しいわざわい。梧窓漫筆、上「侫幸の臣は、その国の妖?」 |
えうすヨウス[夭す] |
(動、サ変)年が若くて死ぬ。 |
えうずヨウズ[瑩ず] |
(動、サ変)瑩という貝でみがく。みがく。輝く。宇津保、あて宮「御髪のうるはしくをかしげに清らなる、黒紫のきぬを瑩ぜるごと」 |
えうずヨウズ[耀ず] |
(動、サ変)輝かせる。光らせる。光沢を出す。宇津保、蔵開、中「壁代には、白き綾をうちえうじたり」 |
えうずヨウズ[要ず] |
(動、サ変)必要である。入用である。竹取「かぐや姫の要じ給ふべきなりけりと承りて」 |
えうせつヨウ…[夭折] |
(名)わかじに。夭死。筆のすさび「いつのころか、備後福山に大食会といふことを始めし者あり。その社の人、みな夭折せり」 |
えうぜんたりヨウゼンタリ[?然たり] |
(形動、タリ)嘆いてぼんやりしている。奥の細道「松島は扶桑第一の好風にして…その景色?然として美人のかんばせをよそほふ」 |
えうてうたりヨウチヨウタリ[窈窕たり] |
(形動、タリ)しとやかで美しい。なまめいてうるわしい。奥深くてりっぱである。 |
え[江] |
(名)海・川・湖・沼などの一部分が陸地に入り込んだところ。いりえ。 |
えうめいなりヨウメイナリ[杳冥なり] |
(形動、ナリ)奥深くて暗い。遼遠でよく分からない。古事記、序文「太素は杳冥なれども」 |
えうめいたりヨウメイタリ[窈冥たり・窈瞑たり] |
(形動、タリ)遠くて奥深い。深く遠くて朦朧としている。太平記、十六「路羊腸をふんでのぼること二十余町、雲霧窈瞑たり」 |
えうよヨウ…[腰輿] |
(名)「たごし」に同じ。義経記、六「院参し給ふ時、腰輿・牛車に召されて」
|
えうらくヨウ…[瓔珞] |
(名)仏像の頭・頸・胸などにかける珠玉の飾り。宇治拾遺、三「わづかに地蔵の木作ばかりをし奉りて、彩色・瓔珞をばえせず」 |
ええしやこしや |
(感)他をいやしめて、あざけり笑う時に発する声。古事記、中「畳畳志夜胡志夜、こは、いごのふぞ」(「畳畳」を「ええ」とよむ筈はないから、本居宣長は「盈盈」の誤りとしている。しかし、延佳本その他には「亜亜」とある。あるいは「ああしやこしや」であろう)⇒いごのふ。⇒ああしやこしや。 |
えき[駅] |
(名)うまや。宿場。上代から、諸国に水陸の駅を置いて、駅長が船馬のことを伺った。現在の停車場は、これに代わったものである。
|
えきすゐ…スイ[易水] |
(地名)中国、河北省の西部にある川。荊軻の「易水歌」で名高い。蕪村の句「易水にねぶか流るる寒さかな」(荊軻の易水歌「風蕭蕭として易水寒し、壮士ひとたび去ってまたかへらず」を思ってよんだ句) |
えきれい[駅鈴] |
(名)古、官使が諸国へ赴く時、駅の馬を徴発する証に賜わる鈴。鈴に刻み目があって、たとえば、十の刻み目があれば馬十匹を徴発する。えきろのすず。
|
えけむ |
(句)よかろうか。古事記、上「また、いづれの神をつかはしてばえけむ」 |
えこ[長子] |
(名)「兄子(えこ)」の義。長男。 |
え[枝] |
(名)えだ。竹取「いたづらに身はなしつとも玉のえを手折らでさらに帰らざらまし」
|
えこ[依怙] |
(名)えこひいき。 |
えさらず(句) |
避けがたい。ぜひそうしなければならない。源氏、桐壺「また、ある時は、
えさらぬめだうの戸さしこめ」=また、ある時は、ぜひ通らねばならぬ殿上の中廊下の戸を閉じこめ。
|
えしの |
(地名)「よしの」に同じ。 |
えじまきせき[江島其磧] |
(人名)江戸時代の小説家。京都の人。多くは八文字屋自笑の名を借りて、浮世草子を発表した。のち、自笑と交を絶ったが、自笑の名に圧倒されて大を成し得なかった。元文元年(一七三六)没、年六十九。一説、元文二年没。主著、傾城色三味線・役者口三味線。
|
えせ |
(接頭)「にせの」「悪い」「いやしい」「みぐるしい」などの意を冠する語。えせ笑ひ。えせもの。えせ形。
|
えだち[役] |
(名)(1)労役。課役。夫役。(2)戦役。 |
えだつ[役つ] |
(動、四)(1)夫役にあてられて出る。古事記、中「また、新羅人まゐ渡り来つ。ここをもて、建内の宿禰の命、ひきゐて、堤の池にえだたせて百済の池を作る」(2)骨を折る。苦労する。増鏡、七、おりゐる雲「院も同じ御心にえだちのたまふ」
|
えつす[謁す] |
(動、サ変)「対面する」の敬語。まみえる。 |
えつもくせう…シヨウ[悦目抄] |
(書名)藤原基俊の著と伝えられるが明らかでない。平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて成ったものと思われる。詠歌上の注意を述べたもの。 |
えと[干支] |
(名)⇒じつかんじふにし。 |
え[肢] |
(名)人体における枝の義。手足。四肢。雄略紀、二年七月「大伴室屋大連に詔して、来目部をして夫婦の四つのえを木に張らしめ」
|
えどじだい[江戸時代] |
(名)「徳川時代」ともいう。徳川家康が征夷大将軍となった慶長八年(1603)から、明治維新の前年、すなわち慶応三年(1867)までの間をいう。
|
えな[胞衣] |
(名)胎児を包んでいた膜および胎盤や臍の緒などの総称。徒然草、六十一段「御産の時、こしき落すことは定まれることにはあらず。御胞衣滞る時のまじなひなり」
|
えにし[縁] |
(名)えん。ゆかり。え。 |
えのもときかく[榎本其角] |
(人名)江戸時代の俳人。宝井其角ともいう。近江の人。江戸へ出て芭蕉の門に入り、蕉門十哲の筆頭におかれた。宝永四年(1707)没、年四十六。主著、句兄弟・みなしぐり・枯尾花。
|
えはう…ホウ[吉方] |
(名)一年中の吉なる方位。蜻蛉日記「いとよきことなり。てんげのえはうにも勝(まさ)らむ」 |
えびいろ[海老色] |
(名)伊勢えびの生きている時のような色で、暗赤紫色をいう。上位の服色とされる。
|
えびかづら…カズラ |
(名)「かづら」は蔓草の総称で、「えび」のひげのような蔓のあるところからの名。えびづる。古事記、上「かれ、いざなぎのみこと、黒御髪(くろみかづら)を取りて投げうて給ひしかば、すなはちえびかづらの実生りき」(「ぶどう」の古名とするのは、誤りであろう) |
えびかづら…カズラ |
(名)かもじ。源氏、初音「みぐしなども、いたく盛り過ぎにけり。やさしきかたにはあらねどえびかづらしてぞ繕ひ給ふべき」 |
えびす |
(名)(1)七福神の一。(2)えぞ。アイヌ。(3)未開の民。外国人。(4)いなか武士。特に関東武士。徒然草、八十段「法師は兵の道を立て、えびすは弓引くすべ知らず」
|
えひめ[兄姫] |
(名)長女。「おとひめ」の対。
|
え[愛・佳] |
(名)美・佳・善の義。古事記、上「あなにやし、えをとこを」同、中「か
つがつも、いやさきだてる、えをしまかむ」=まずまず、最も先頭に立っている美人を、自分は求めたい。
|
えひめ[愛比売] |
(地名)伊予の国、愛媛県の古名。 |
えびら[箙] |
(名)矢を入れて背に負う具。 |
えふ |
(名)いぞぐこと。急。落窪物語「さすがに煩はしくて、えふとも呼ばで、しばし念ぜよ、今よく申すと宣へり」
|
えぶ[閻浮] |
(名)「えんぶだい」の略。古今集、十九、長歌「消なば消ぬべく思へども、えぶの身なれば、なほやまず」
|
えぶ[厭舞] |
(名)「えんぶ」の略。 |
えぼしおや[烏帽子親] |
(名)昔、元服の時、烏帽子をかむせたり、烏帽子名をつけたりする人。
|
えぼしな[烏帽子名] |
(名)元服の時、幼名を廃して、改めてつける名。「牛若丸」を「義経」と改める類。 |
えみし |
(名)「弓師」の義という。「えびす」に同じ。特に、アイヌ・ツチグモなどをいう。古事記、中「あらぶるえみしどもをことむけ」神武紀、元年前戌午十月「えみしを、ひたり・ももなひと、人はいへども、たむかひもせず」明治時代の唱歌「たたら浜べのえみし、そはなに蒙古勢」 |
えやみ[疫病] |
(名)(1)流行性の悪疫。古事記、中「このすめらみことの御代に、えやみさはに起り、おほみたからうせて尽きなむとす」(2)おこり。ぎやく。(瘧)
|
えよぼろ[役丁] |
(名)課役の人夫。⇒よぼろ。 |
え |
(副)よく。よう。下に否定の語が来る。竹取「をかしきことにもあるかな。もともえ知らざりけり」=おもしろいことだね。全くよう知らなかった」(現代の関西方言にいう「よう」に当たる。「能」であり、「得」ではない)
|
える[選る] |
(動、四)(1)えらぶ。(2)批評する。紫式部日記「とりあやまちのほの見えたらむそばめをも、えらせ給ふべけれ。衣のおとりまさりは、いふべきことならず」
|
えんおん[延音] |
(名)国語学用語。「踏む」を「踏まふ」、「捕る」を「捕らふ」という類。延言。略して「延」ともいう。
|
えんが[垣下] |
(名)饗応の時、主人をたすけて取持する人。かいもと。ゑが。枕草子、九「見るものは……物ぐるほしきまで見えしきんだちの、斎院のえんがにて、緋のさうぞくうるはしくて」
|
えんがる[艶がる] |
(動、四)優美がる。上品ぶる。源氏、梅枝「何ごとも物好みし、えんがりおはする御子にて」
|
えんぎしき[延儀式] |
(書名)平安時代、延喜五年(905)に藤原忠平らが勅を奉じて撰し、延長五年(927)に完成した書。五十巻。朝廷の儀式や百官の作法、地方行政の規定等がしるされている。「祝詞」も、この中に収録されている。 |
えんぎのひじり[延喜の聖] |
第六十代醍醐天皇の別称。その御代の年号に基づく。
|
えんぎのみかど[延喜の帝] |
第六十代醍醐天皇の別称。その御代の年号に基づく。
|
えんくわう…コウ[炎荒] |
(地名)中国、南の方、はるか遠くて熱く、かつ未開の地の称。祝詞、東文忌寸部献横刀時呪「南は炎光に至り」(「光」は、あて字) |
えんご[縁語] |
(名)歌や文の中に入れてある、互に縁のある語。古今集、十三、恋三「みるめなきわが身をうらと知らねばやかれなであまの足たゆく来る 小野小町」の「みるめ・うら・かれ・あま」の類。 |
えんすゐ…スイ[淵酔] |
(名)昔、宮中において、節会などの後、蔵人頭以下の諸臣に賜わった宴会の称。 |
え |
(助動)受身の助動詞「ゆ」の未然形および連用形。れ。万葉[6-1018]「白珠は人に知らえず」=白珠のような価値あるものは人には知られない。古事記、上「かれ、やらはえて、出雲の国の肥の河かみななる鳥髪のところに降りましき」=そこで、追放されて、出雲の国の肥の河の上流にあるとりかみというところへおくだりになった。
|
えんせいもんゐん…イン[延政門院] |
(人名)後嵯峨天皇の皇女悦子内親王。元弘二年(1332)薨、年七十六。徒然草、六十二段「延政門院、いときなくおはしましける時…ふたつもじ牛の角もじすぐなもじゆがみもじとぞ君はおぼゆる」 |
えんせきざつし[燕石雑志] |
(書名)滝沢馬琴の著わした随筆集。六巻。和漢の雑事を考証したもの。文化六年(1809)刊。
|
えんせきじつしゆ[燕石十種] |
(書名)岩本睦麿の著。小説・演劇等に関する種種の雑説・遺文等を収録。六十巻。天保七年(1836)成る。
|
えんだう…ドウ[筵道] |
(名)貴人の徒歩の時、通路に敷くむしろ。枕草子、一「この御みちもかしこからざめり。えんだうしきたれば、みなおちいりてさわぎつるはといへば」
|
えんだつ[艶だつ] |
(動、四)あだめく。なまめく。枕草子「ことなることなき男の、ひ
きいれごゑしてえんだちたる」
|
えんなり[艶なり] |
(形動、ナリ)優美だ。あだめいている。増鏡、八、山のもみぢ葉 「わざと艶なることのつまにもしつべし」源氏、帚木「えんにものはぢして」 |
えんねんのまひ…マイ[延年の舞] |
(名)昔、比叡山などにおいて、大法会後に、僧の催した楽舞演技の総称。 |
えんのうばそく[役の優婆塞] |
(人名)修験者の祖。舒明天皇の六年(634)大和に生まれ、葛城山において修行すること三十年。のち、金峰山をはじめ、ほとんど日本全国の大小岳を踏破した。本名は役の小角(をづの)。俗形のまま仏道を修行したので、役の優婆塞ともいう。寂年不明。 |
えんのぎやうじや…ギヨウ…[役の行者] |
(人名)修験者の祖。舒明天皇の六年(634)大和に生まれ、葛城山において修行すること三十年。のち、金峰山をはじめ、ほとんど日本全国の大小岳を踏破した。本名は役の小角(をづの)。俗形のまま仏道を修行したので、役の優婆塞ともいう。寂年不明。 |
えんのまつばら[宴の松原] |
(地名)平安京大内裏の内の地。今の京都市上京区千本通りの西出水通りの北の辺に当たる。大鏡、七、太政大臣道長「中の関白殿……宴の松原のほどに、その物ともなき声などの聞ゆるに、ずちなくて帰り給ふ」
|