- て -
(助詞)(1)第二類、接続助詞。活用語の連用形に付いて、一事を終えて他に移り続く意をあらわす。順態の接続。春過ぎて夏来たるらし。風雨はげしくて帰るに及ばず。空気さわやかにて心地よし。兄は文学者にて、弟は科学者なり。(2)第一類、格助詞。「と」に同じ。東国方言。万葉、二十の四三四六「父母がかしらかき撫で幸(さ)くあれていひし言葉(けとば)ぜ忘れかねつる 防人の歌」(3)第四類、終助詞。感動の意をあらわす。浮世風呂、前、上「や、ゆふべはねそびれて困り切つたて」
ていくわうのひつぎ…コウ…[帝皇の日継] (名)皇位継承の記録。古事記、序文「阿礼に勅語して、帝皇の日継および先代の旧辞を誦習せしむ」(あるいは、書名か)
てふチヨウ (句)「と言ふ」の約。竹取「かぐや姫てふ大盗人のやつが人を殺さむとするなりけり」
でふだてジヨウ……[畳楯] (名)ちょうつがいにして、畳むように作った楯。太平記、七、千剣破城軍事「前に畳楯をつきならべ」
てふてふしチヨウチヨウシ[喋喋し] (形、シク)多言で、やかましい。口やかましい。
てふてふとチヨウチヨウト[喋喋と] (副)べちゃべちゃと。
てふり (名)従者。ともびと。宇津保、祭使「御馬どもひきたて、てふりども立ちなみたり」
てぶり (名)風俗。ならわし。万葉、五の八八〇「あまざかるひなに五年(いつとせ)住まひつつみやこのてぶり忘らえにけり 山上憶良」方丈記「都のてぶり忽ちに改まりて、ただひなびたるもののふに異ならず」
てぶり[手振り] (名)(1)様子。かたち。(2)てぶら。
てへりテエリ (句)「と言へり」の約。雄略紀、十六年十月「詔して漢部(あやべ)をあつめて、その伴の造を定むてへり」
てへればテエレバ[者] (接続)「と言へれば」の約。しかれば。ていれば。さて。朝野群載、六、延長三年十二月十四日「早速言上、てへれば、諸国承知、宣に依りて遅回するを得ず」
てまさぐり[手まさぐり] (名)手なぐさみ。手すさみ。枕草子、二「数珠かいまさぐり、手まさぐりにし」
ていけ (名)天気。てけ。土佐日記「追風の吹きぬる時はゆくふねの帆手うちてこそうれしかりけれとぞ、ていけのことにつけつつ祈る」
てまどひ……マドイ[手惑ひ] (名)うろたえ、惑うこと。あわて、うろたえること。当惑。宇治拾遺、十「この猿の首は斬り放たれぬと身ゆれば、宮司も手惑ひして、誠にすべき方なければ」
てまはり……[手回り] (名)(1)手の届くあたり。身辺。座右。(2)転じて、主将の傍を護る兵士。麾下。
てまへ…マエ[手前] (代)(1)自称代名詞。わたくし。拙者。(2)対称代名詞。目下の者に用いる。汝。その方。そこもと。
でまる[出丸] (名)「でじろ」に同じ。
てむテン (句)「て」は完了の助動詞「つ」の未然形、「む」は推量の助動詞「む」の終止形または連体形。未来において動作の完了することを推量し、または未来における希望の意をあらわす。万葉、十一の二五四三「わが恋ひしことも語らひ慰めむ君が使ひを待ちやかねてむ」同、六の九五七「いざこども香椎(かしひ)の潟に白妙の袖さへぬれて朝菜つみてむ」
てもすまに[手もすまに] (副)手も休めずに。手もひまなく。万葉、八の一六三三「手もすまに植ゑし萩にや却(かへ)りては見れども飽かずこころ尽くさむ」
てやり[手槍] (名)細く短い槍。
てらいり[寺入り] (名)(1)寺子屋に入学すること。(2)室町時代に、罪を犯した者が寺に入ることを命ぜられ、またはみずから寺に入り剃髪し、または寺僧に乞うて罪を許されること。寺預り。遁科屋。
てらこや[寺子屋] (名)室町時代から江戸時代にかけての初等教育の機関。僧侶・神官・浪士などが児童に読書・習字などの教育を施した所。もと、主として寺院がそれに当てられたのでいう。その児童を「寺子」と称する。(「寺小屋」「寺小」は非)
てらさふテラサウ[衒さふ] (動、四)見せびらかす。てらう。万葉、十八の四一三〇「針袋帯びつづけながら里ごとにてらさひ歩けど人もとがめず」
ていご[亭午] (名)正午。まひる。太平記、二、俊基朝臣再関東下向事「日すでに亭午に昇れば、餉(かれいひ)まゐらする程とて、輿を庭前に舁きとどむ」
てらゐ…イ[寺井] (名)寺院の境内にわき出る清水。一説に、越中にある地名。万葉、十九の四一四三「もののふのやそをとめらが汲みまがふ寺井の上のかたかごの花」(「かたかご」は「かたくり」)
てるたへ……タエ[照栲・照妙] (名)光沢のある美しい布。祝詞、祈年祭「御服(みそ)は、明妙・照妙・和妙・荒妙に、たたへごと竟へまつらむ」
てるたへ……タエ[照栲・照妙] (名)光沢のある美しい布。祝詞、祈年祭「御服(みそ)は、明妙・照妙・和妙・荒妙に、たたへごと竟へまつらむ」
てるつきの[照る月の] (枕詞)照る月には飽かずむかいたいとの意から「飽かず」に、また、月の桂ということから「桂の山」に冠する。万葉、四の四九五「朝日影にほへる山に照る月のあかざる君を山越しに置くきて」(上三句は「あかざる」の序詞)続古今、二十「てるつきの桂の山に家居して」(「桂の山」は山城にある山)
てるにぎて[照和幣] (名)つやつやしたにぎて。光沢のある布。祝詞、大殿祭「明和幣・照和幣を付けて」
でゐ…イ[出居] (名)奥の方から出て、客に対して居る室。いでゐ。客殿。寝殿。客間。宇治拾遺、五「近う召し使ふ侍出で来て、御出居へ参らせ給へといひければ」
でん[伝] (名)(1)事歴をしるして世に伝えるもの。伝記。(2)歴史で、人の一代をしるすもの。「本紀」に対する語。数伝をつらねるものを「列伝」という。(3)注釈。「古事記伝」「春秋左氏伝」などの「伝」は「注釈」の義。」
てんあふテンアウ[点合ふ] (動、四)合点する。よい歌としての点を付ける。十六夜日記「五十首に十八首、点合ひぬるもあやしく」
てんいつ[天乙] (人名)中国の殷の湯王の別称。名君であったという。古事記、序文「名は文命よりも高く、徳は天乙にもまさり給へりといひつべし」(「文命」は夏の禹王)
てんおん[転音] (名)複合語の上の語の末音、または下の語の頭音が、他の音に変わることをいう。また、その変わった音の称。「さけや⇒さかや」「はるあめ⇒はるさめ」の類。
ていしつ[貞室] (人名)やすはらていしつ。」
でんか[田家] (名)いなかの家。いなかや。
てんがい[天蓋] (名)仏像または葬送の棺をおおう蓋の称。また、寺院の本堂内の高座の上方につるす具。天井からつるすものと、先の曲がった柄に掛けるものとある。また、虚無僧のかむる深編笠の称。
てんがい[天涯] (名)空の果て。遠方の地。太平記、二十、勾当内侍「留まるは末を思ひやりて、涙を天涯の雨に添ふ」
でんがく[田楽] (名)(1)舞楽の一。昔、田植の時、田の神を祭り、または、田植をする者をなぐさめるために行ったもの。のち、田植の神事以外に娯楽としての舞楽となり、更にのち猿楽と合して、能楽の中にとけこんだ。栄花、御裳着「でんがくといひて、怪しきやうなるつづみ腰にゆひつけて、笛吹き、ささらといふものつき」(2)田楽に用いる「田鼓」の称。今昔、二十八「ひた黒なる田楽を腹に結ひつけて」(3)田楽をする者。田楽法師。(4)田楽豆腐・田楽焼の略。
でんがくにふだう…ニユウドウ[田楽入道] (人名)北条高時の別称。高時は、すこぶる田楽の舞楽を好んだのでいう。駿台雑話、四、泰時の無欲「もし泰時なかりせば、北条家の滅びむこと、高時が時を待ち侍らじ。ひとり田楽入道をのみ罪すべからず」
てんく[転句] (名)漢詩で、絶句の第三句。⇒ぜつく。
でんぐ[伝供] (名)仏壇に供物を伝送すること。また、その人。増鏡、九、北野の雪「天童二人、玉の幡を捧げて、伝共ども次第に奉るほど」
てんぐだふし……ダオシ[天狗倒し] (名)深山などで、原因不明のすさまじい音の起ること。謡曲、鞍馬天狗「嵐、こがらし、滝の音、天狗倒しはおびただしや」
てんけ[天気] (名)(1)てんき。(2)天皇の御勘気。勅勘。蜻蛉日記「いかなる咎まさりたりけむ、てんけの人人流さるるとののしること出で来て」(「てんげ」とにごっても読む)
てんけう……キヨウ[典教] (名)法制と教育と。法度訓誨。古事記、序文「典教を絶えむとするに補はずといふことなし」
ていしのししん[程子の四箴] (句)中国、宋の程明道の説いた視箴・聴箴・言箴・動箴の四種の教訓。祈り焚く柴の記、上、経書独学「その後、また程子の四箴をも講じきかせられしより」
でんけうだいし…キヨウ…[伝教大師] (人名)⇒さいちよう。
てんこ[典故] (名)典例と故実と。しきたり。
てんこちもなし[天骨もなし] (句)途方もない。ひどい。東海道中膝栗毛、二、中「わしどもはお江戸で、てんこちもない目にあつたもし」
てんこつ[天骨] (名)天性。うまれつき。また、自然にそなわった才能。天才。てんこち。宇治拾遺、一、鬼に瘤とらるること「さきの翁よりは天骨もなく、おろおろかなでたりければ」
てんじ[典侍] (名)内侍の次官(すけ)⇒ないし。
てんじやう……[殿上] (名)(1)清涼殿の上。また、紫宸殿の上。四位以上または六位の蔵人はここに昇ることを許された。(2)「殿上人」の略。(3)蔵人所の異称。殿上のこと一切をつかさどるのでいう。
てんじやうのふだ…ジヨウ…[殿上の簡] (名)昇殿を許された者の名をしるして殿上に置く札。日給の簡。平家、一、殿上闇討「早く殿上の御簡を削つて、闕官・停任行はるべきか」
てんじやうびと…ジヨウ…[殿上人] (名)四位以上および六位の蔵人で、昇殿を許された者の称。雲の上人。雲客。うへびと。枕草子、一「左衛門の陣などに、殿上人あまた立ちなどして」
てんしゆ[天主] (神名)キリスト教の神、すなわちラテン語Deusの訛。天帝。上帝。デウス。
てんしゅ[天守] (名)城の本丸に築いた城中最高の物見櫓の称。「天主」とも書く。織田信長が安土城を築き、ここに天主を祭ったことに基づくともいい、ここに四天王を置き守護神としたのに起るともいう。天守閣。天守櫓。
ていじのみかど[亭子の帝] (天皇名)第五十九代、宇多天皇の御別称。大鏡、二、左大臣時平「また、亭子の帝に聞えさせ給ふ。流れゆくわれは水屑(みくづ)になりはてぬ君しがらみとなりてとどめよ 菅原道真」
てんしゆう[天衆] (神名)梵天帝釈・四天王などのような、天部に属する神仏の総称。宇治拾遺、十一、出家功徳の事。「この翁の法師になるを随喜して、天衆も集まり給ひて」
てんしゆかく[天守閣] (名)「天守」に同じ。
てんしん[点心] (名)間食に供する菓子の類をいう。中国語では、現在でも菓子を「点心」という。太平記、三十三、公家武家栄枯易レ地事「おもて五尺の折敷に、十番の斎羹、点心百種、五味の魚鳥…色色様様すゑならべたり」
てんしん[天心] (名)(1)天帝の心。(2)天の中心。中天。なかぞら。蕪村の句「月天心貧しき町を通りけり」
てんじん[天神] (名)(1)あまつかみ。「地祗」の対。(2)「天満天神」の略。菅原道真の霊を神格化したもの。
てんぜん[典膳] (名)内膳司の判官。膳部調理のことをつかさどる。
てんぜんたり[恬然たり] (形動、タリ)平然としている。平気である。主として、悪事を犯して恥じない場合にいう。駿台雑話、二、天人相勝「ひそかに官財を私して、妻子をさかやかし、奢侈を極むれども、その跡見えぬ程は、恬然として自ら計を得たりとす」
でんそう[伝奏] (名)親王・摂家・武家・諸社寺等の奏請を天皇に取り次ぐことをつかさどる職。
てんだいさす[天代座主] (名)比叡山延暦寺の住持の称。
てんだいさん[天台山] (地名)比叡山の別称。仏教大師がこの地において天台宗を弘めたのでいう。
ていしよく[牴触] (名)さしさわり。さしつかえ。(牛羊などが、角でつきあたる義から起った語)
てんだいしくわん……カン[天台止観] (書名)二十巻。中国、惰の智者大師述、灌頂記。「魔訶止観」ともいう。天台宗の実践的方面を説いたもので、天台の三大部の一として重要な書。奥の細道「天台止観の月明らかに」(ここでは、書名としてでなく、天台の教えを示し、妄念を制止せしめ、諸法を照らし識別せしめる意)
てんだいしゆう[天台宗] (名)仏教八宗の一。中国、隋の天台山智者大師の創始した宗派。法華経を所依とする。日本へは、天平勝宝六年(七五四)唐の僧鑑真がはじめて伝え、のち伝教大師が入唐し帰朝して大いに弘めた。総本山は比叡山の延暦寺。天台・天台円宗・天台法華宗・仏立宗・法華宗・円宗などともいう。
てんだう…ドウ[天道] (名)天地自然の道理。「天道、是か非か」
てんちう……チユウ[天ちう] (地名)「ちう」は「ちゆう」の誤写であろう。天龍川の異称。この川を「天の中川」ともいうので、「天中」すなわち「てんちゆう」とすべきを、作者が誤ったか、写者が誤ったかしたもの。更級日記「天ちうといふ川のつらに、仮り屋作り設けたれば、ここにて日ごろ過ぐるほどにぞ、やうやうおこたる」
てんぢく……ジク[天竺] (地名)印度の古称。竹取「天竺に二つとなき鉢を」徒然草、八十四段「法顕三蔵の天竺に渡りて故郷の扇を見ては悲しび」
てんちやう……チヨウ[天聴] (名)天子のお聞きになること。叡聞。
てんちゆう[天誅] (名)天の下す誅罰。また、天意に基づいて行う誅伐。
てんとう[天統] (名)天子の系統。皇統。古事記、序文「乾符を握りて六合をすべ、天統を得て八荒を包(か)ね」
てんとう[纏頭] (名)祝儀として与える物。古今著聞集、十一、蹴鞠「大きに感じて纏頭ありけり」
でんとう[伝燈] (名)仏教で、その法を他に伝えること。
ていじゐん……イン[亭子院] (天皇名)「ていじのみかど」に同じ。源氏、桐壺「このごろ、あけくれ御覧ずる長恨歌の御絵、亭子院の書かせ給ひて、伊勢・貴之によませ給へる大和ことのはをも」
てんどく[転読] (名)大部の経文のところどころをつまんで読むこと。「真読」の対。「大般若を転読す」
てんなが[点長] (名)点や画を長く引いて文字を書くこと。源氏、帚木「ここかしこ、点ながにはしり書き」
てんによ[天女] (名)(1)天人。(2)仏教で、女神の名の下に添える語。弁財天女・吉祥天女の類。
てんにん[天人] (名)仏教で、天上を飛行する女神。頭に華鬘(けまん)をつけ、羽衣を着、身に光があるという。天女。謡曲、羽衣「それは天人の羽衣とて、たやすく人間に与ふべきものにあらず」
てんにんのごすゐ……スイ[天人の五衰] (句)天人すなわち天女も、死期に臨んでは五種の衰えた相をあらわすという。第一は羽衣が塵埃に染む。第二は華鬘がしぼむ。第三は両腋から汗が流れ出る。第四は臭気が身にただよふ。第五はその地位をよろこばない。以上の五種の衰相。「天上の五衰」ともいう。平家、二、新大納言死去「ただ天人の五衰に異ならず」謡曲、羽衣「天人の五衰も、目の前に見えてあさましや」
てんのかは……カワ[天の川] (地名)大和の国、奈良県吉野郡の中部にある村。十津川の上流なる天の川の水源地で、峰入り行者の休泊地。あまのがわ。太平記、七、吉野城軍事「その間に宮は引き違へて、天の川へぞ落ちさせ給ひける」
てんのくま[天の曲] (地名)近江の国、滋賀県高島郡、今の劒の熊。西近江路の要害の地。太平記、十七、北国下向勢凍死事「天の曲にて前陣の勢に追ひおくれ、行くべき道を失うて」
てんばい[顛沛] (名)(1)かたむきたおれること。くじけること。挫折。(2)とっさの間。つかのま。駿台雑話、二、鈴木某が歌「造次にもここにおいてし、顛沛にもここにおいてす」
てんぴん[天禀] (名)生まれつきの性質。天性。天賦。
てんぷ[天賦] (名)人が天から賦与せられたこと。うまれながらに具有すること。天性。天禀。
ていせい[鄭声] (名)淫猥な音曲。淫靡な声音。中国、春秋時代の鄭国の音曲が淫猥であったのでいう。太平記、十三、北山殿謀叛事「鄭声、雅を乱る故に、一唱三嘆の曲にあらず」
てんぷく[甸服] (名)畿内。王城の周囲の地域。太平記、一、関所停止の事「元享元年の夏、大旱地を枯らして、甸服の外百里の間、むなしく赤土のみあつて青苗なし」
てんぺん[天変] (名)天上の変動の称。大風・落雷・豪雨・日蝕・彗星の出現などをいう。「地異」の対。栄花、若枝「世の中に、てんぺんなど頻りにて」
てんま[伝馬] (名)(1)道中の駅駅で公用に供するために出す馬。(2)ある宿駅から次の宿駅まで人や荷を運ぶ馬。駅馬。太平記、二、三人僧徒関東下向事「怪しげなる伝馬にのせられて、見なれぬ武士にうち囲まれ」(3)伝馬船の略。
てんまきじん[天魔鬼神] (名)仏道をさまたげる悪神をいう。謡曲、安宅「いかなる天魔鬼神も恐れつべうぞ見えたる」
てんません[伝馬船] (名)大船から荷を受けて、岸に運ぶ小型の船。伝馬。てんまぶね。はしけ。
てんまはじゆん[天魔波旬] (名)「波旬」は「悪者」。仏道を妨げる悪者。天魔鬼神。平家、三、足摺「天魔波旬の我が心をたぶらかさむとて言ふやらむ」
てんもく[天目] (名)茶の湯に用いる茶碗の一種。浅く開いたすりばち形のもの。
てんもんはかせ[天文博士] (名)昔、天文のことをつかさどり、天文生を教授する職。陰陽寮に属する。
てんやくのかみ[典薬の頭] (名)昔の医官の長官。謡曲、土蜘蛛「さても頼光、例ならず悩ませ給ふにより、典薬の頭より御薬を持ち、ただ今頼光の御所へ参り候ふ」
てんやくれう……リヨウ[典薬寮] (名)昔、宮中の医薬のことをつかさどる役所。くすりのつかさ。宮内省に属する。
ていせき[底績] (名)功をたてること。駿台雑話、四、楠正成「韓信が兵は利欲の私に出でて一身のためにし、正成が兵は忠義の公に出でて国家のためにす。その底績の心おのづから同じからず」
てんやわんや (名)われがちに騒ぎたてること。互に先を争って秩序のないこと。てんでん勝手。「てんやわんやの大騒ぎ」
てんゆ[詔諛] (名)こびへつらうこと。おべっか。祈り焚く柴の記、中、大名課役奏議「詔諛の俗も改まり、賄賂の事行はれざらむことも、またその中にありぬべし」
てんりやう……リヨウ[天領] (名)もと、天子直轄の御領地の称。のち、江戸時代に、僣して、幕府直轄の地の意となる。
てんりやくのみかど[天暦の帝] (天皇名)第六十二代、村上天皇の御別称。その年号による。大鏡、八「北野におぢ申させ給ひて、天歴のみかどをば、いとさも守り奉らせ給はず」
てんりんじやうわう…ジヨウオウ[転輪聖王] (名)仏教で、身に三十二相を具し、位に即く時、天から輪の宝を得て、これを回して四方を降伏するという王。大鏡、七、太政大臣道長「ただ転輪聖王などはかくやと、光るやうにおはします」
てんわう……ノウ[天王] (名)(1)仏教で、神の名に添えていう語。牛頭天王・四天王の類。(2)もっぱら「牛頭天王」の略。「天王の祭」
てんわうじ…ノウ…[天王寺] (寺名)「四天王寺」の略。大阪市南区天王寺元町にある天台宗の寺。聖徳太子の創立。日本最初の寺院。難波寺・堀江寺・御津寺・護国大寺などともいう。水鏡、中、用明天皇「かくて今年、天王寺をば造りはじめられしなり」
((助詞)(1)第二類、接続助詞。活用語の未然形に付いて、否定の意をあらわす。口語の「ないで」「なくて」にあたる。順態の接続。起きあがらで、舟底に伏す。気候も寒からで住みよし。ここは静かならで住みうし。人に知られで来るよしもがな。(2)第二類、接続助詞。活用語の連体形に付いて原因・理由の意をあらわす。口語の「ので」「から」に当たる。心中二腹帯、三「お暇が出たで、去(い)にまする」(3)第一類、格助詞。「にて」に同じ。平家、一、我身栄花「偏に女御の様でぞましましける」
ていせつ[貞節] (名)心の正しく、行いの固いこと。特に、婦人の操の正しいこと。
ていそ[挺楚] (名)「挺」は「杖」、「楚」は「しもと」。合して、棍棒。杖。太平記、十一、金剛山寄手等被レ誅事「堅申利兵、徒らに挺楚のためにくだかれて」
ていそ「帝祚」 (名)帝王の位。皇祚。天祚。祝詞、東文忌寸部献横刀時呪「棒ぐるに金刀を以てす。帝祚を延ばさむことを請ふ」
ていそう[逓送] (名)継ぎ送ること。順送り。伝送。
ていそく[鼎足] (名)「鼎の足」の義。鼎に三本の足があるので、三方に分れて対立すること。鼎立。
ていたし[手痛し] (形、ク)手荒い。手強い。はげしい。ひどい。
ていたらく[為体] (名)ありさま。すがた。ようす。なりゆき。平家、七、木曾願書「覚明がその日の為体、褐の直垂に黒糸縅の鎧着て、黒漆の太刀をはき。」
ていとく[貞徳] (人名)⇒まつながていとく。
ていに (句)「と言ふに」の約。狂言、抜殻「はて、行きまするていに」
ていにん[体認] (名)「たいにん」とも読む。心に深く認識して、実践躬行すること。駿台雑話、二、浩然の気「よく体認してしるべきことにや」
てあい…アイ[手合ひ] (名、なかま。ものども。連中。浮世風呂、一、下「この手合ひの将棋は、王を詰めようとはしねえで」
ていねん[丁年] (名)一年前の年齢。成年。二十歳をいう。また、一人前の男子。二十歳以上の男子。
ていはつ[剃髪] (名)(1)髪をそり落して出家すること。(2)小児の生まれた時、そのうぶ毛をそること。(3)江戸時代、婦女に対して行った刑の一。髪を剃り落して親戚に預けた刑。主に姦通罪に科した。
ていふつ[鼎沸] (名)鼎の中の湯の沸き立つように、やかましく騒ぎ立てること、天下の乱れること。議論のさかんに起ること。
ていもんは[貞門派] (名)江戸時代初期の俳諧師、松永貞徳の俳風の一派。この派に属する主な人に、安原貞室・北村季吟・松江重頼・野野口立圃・山本西武・高瀬梅盛・鶏冠井令徳などがある。この七人を「貞門の七哲」または「貞門の七俳仙」という。この派の句風はやや保守的であったので「古風」ともいわれ、「談林派」に対立する。芭蕉出現直前の一派。
でいり[泥梨] (名)「ないり」とも読む。地獄のこと。謡曲、石橋「歩みのぞめばこの橋の、面は尺にも足らずして、下は泥梨も白波の、虚空を渡る如くなり」
ていりつ[鼎立] (名)「鼎足」に同じ。
ていれば (接続)「と言へば」の意。「てへれば」に同じ。平家、四、山門牒状「いかでか、その嘆きなからむや。ていれば、ことに合力を致して、当寺の破滅を助けられ」
ていゐ…イ[延尉] (名)「検非違使佐」の唐名。
てうチヨウ[朝] (名)(1)朝廷。(2)御代。御宇。
てうチヨウ[調] (名)(1)昔、諸国の生産の布などを朝廷に納めさせたもの。みつぎの一。つき。(2)音楽の調子。
ていか[定家] (人名)⇒ふぢはらのていか。
でうジヨウ[条] (名)くだり。筋。談。「右の条、固く守るべき事」
でうジヨウ[条] (接続)に就き。間。手紙文に用いられる。「不明の点これあり候ふ条、御照会申し上げ候ふ」
でうジヨウ[条] (接尾)(1)事柄。「第一条」(2)長くつらなったものを数えるに用いる語。「川一条」「数条の道」
てうがチヨウ[朝賀] (名)昔、天皇が元日の辰の刻に大極殿に出御されて行われる儀式。朝拝。
てうがいチヨウ……[超涯] (名)身分に過ぎたこと。太平記、二十、宸筆勅書被レ下ニ於義貞一事「これ当家超涯の面目なり」
てうかいのやまチヨウ……[鳥海の山] (地名)秋田、山形両県にまたがる休火山。形状から「出羽富士」ともいう。奥の細道「雨、朦朧として鳥海の山かくる」
てうきんチヨウ……[朝覲] (名)(1)諸侯が天子にまみえること。(2)天皇が上皇・国母等の宮に行幸されること。朝覲の行幸。
てうこうチヨウ……[朝貢] (名)隷属する他国の使節が貢物を献ずるために来朝すること。来貢。
てうさんチヨウ……[朝参] (名)(1)あさまつりごと。(2)官人が朝廷へ参ること。参朝。参内。(3)早朝の参禅。
てうさんたいふチヨウ……[朝散大夫] (名)「従五位下」の唐名。
ていき[帝紀] (名)代代の天皇の記録。皇室の記録。古事記、序文「陳聞く、諸家のもたる所の帝紀および本辞はすでに正実に違ひ、多く虚偽を加ふと」(あるいは、書名か)
てうさんぼしチヨウ……[朝三暮四] (名)(1)他を愚弄すること。他を龍絡して術中におとしいれること。「列子」に、猿を飼っていた人が、猿に果物をやるのに、朝に三個、夕べに四個やろうというと、猿が怒ったので、では、朝に四個、夕べに三個やろうというと、猿が喜んだとある寓話から起った語。(2)転じて、食物を得ること。生計。くらし。太平記、三十八、畠山兄弟修禅寺城楯龍事「朝三暮四のたすけに心ある人もがなと、身をくるしめたるありさま」
てうしチヨウ……[銚子] (名)(1)酒を入れ、盃に注ぐに用いる器。金属製で、長い柄をつける。両方に口のある「もろくちの銚子」と片方に口のある「片口の銚子」とある。枕草子、九「人の家につきづきしきもの…ひさげ・てうし・中のばん」(2)転じて、酒を入れる小さな徳利の称。
てうじやくチヨウ……[朝夕] (名)(1)朝と夕べと。てうせき。(2)次項の(1)に同じ。太平記、二、僧徒六波羅召捕事「朝夕・雑色、左右に立ち並んで」
てうじやくにんチヨウ……[朝夕人] (名)(1)武家時代に官庁で雑役に使用された小役人。略して「朝夕」ともいう。(2)江戸幕府の職名。将軍参内の時、便器を持って随行する者。
てうずチヨウズ[調ず] (動、サ変)(1)ととのえる。こしらえる。つくる。調達する。大鏡、六、右大臣道兼「その君の祭の日調じ給へりし車こそ、いとをかしかりしか」(2)調伏する。のろう。枕草子、一「いたくわづらふ人にかかりて、もののけてうずるも、いと苦しければ、こうじてねぶれば」
てうづチヨウズ[手水] (名)「てみづ」の音便。(1)手や顔を洗いきよめる水。(2)便所へ行くこと。
でうでうたりジョウジョウタリ[嫋嫋たり] (形動、タリ)そよそよと吹いている。和漢朗詠集、蝉「嫋嫋たる秋の風、山蝉鳴いて宮樹紅なり」
てうどテヨウ……[調度] (名)(1)手まわりの道具。また、家具の類。徒然草、十段「唐の、大和の、めづらしく、えならぬ調度ども並べ置き」(2)武官の道具の意。弓矢。枕草子、十「三位の中将は、陣に仕うまつりけるままにて、調度を負ひて、いとつきづきしうをかしうておはす」
てうどがけチヨウ……[調度懸] (名)平安時代、朝廷の儀式の時、弓矢を帯びる役の名。(2)鎌倉・室町時代、主君の弓矢を帯びてお供をする役の名。やなぐひ負ひ。(3)江戸時代、弓矢を立てて飾りとする台。
てうはいチヨウ……[朝拝] (名)「朝賀」に同じ。
ていぎ[廷議] (名)朝廷の評議。朝議。廟議。
てうふチヨウ……[調布] (名)昔、貢として奉る手織の布の称。つきのぬの。
てうぶくチヨウ……[調伏] (名)(1)心身を調和せしめて種種の悪行をとりのぞくこと。(2)仏の力を頼り、祈って、怨敵・邪鬼などを降伏せしめること。(3)人を呪い殺すこと。
てうもくチヨウ……[鳥目] (名)「ぜに」の異称。昔のぜには、形がまるくて、中央に穴があり、鳥の目に似ていたのでいう。
てうやチヨウ……[朝野] (名)(1)朝廷と民間と。また、在朝と在野と。(2)転じて、天下。世の中。
てうやぐんさいチヨウ……[朝野群載] (書名)平安時代末期の学者、「三善為康の著。三十巻。現在九巻を欠く。永久四年(一一一六)成る。詩文・朝儀・仏事・諸国雑事・諸国公文等に関する宣旨や記録類の朝野の文を集録したもの。
ておもし[手重し] (形、ク)(1)容易でない。むずかしい。心がすすまない。(2)取扱がていねいである。手厚い。
てかき[手書] (名)(1)文字を巧みに書くこと。能書。また、その人。(2)書紀役。平家、七、木曾願書「木曽殿、なのめならずによろこび、手書に具せられたりける大夫房覚明を召して」
てかし[手桎・手枷] (名)手にはめて、手の自由を失わせる刑具。てかし。手錠。
てかせ[手桎・手枷] (名)手にはめて、手の自由を失わせる刑具。てかし。手錠。
てがた[手形] (名)(1)後日の証として、文書に押した手の形。(2)切符。切手。証文。証券。券。有価証券。(3)牛車や鞍などの一部をえぐり刻んで、手をかけるに便利なようにしたところ。平家、八、猪間「木曾、手形にむずとつかみついて」
ていきふ……キユウ[涕泣] (名)涙を流して泣くこと。
てがらみ[手がらみ] (名)腕を組むこと。困った時、考える時などに行う姿態。うでぐみ。落窪物語「いかで、いきすだまにても入りにしかなと、手がらみしてのたまふ」
てがらのをかもち…オカ…[手柄の岡持] (人名)江戸時代の戯作者・狂歌師。本名は平沢常富。通称は平格。戯作者としては、朋誠堂喜三二、狂歌師としては浅黄裏成などとも号した。出羽の人。佐竹候の家臣。江戸へ出て、留守居役となる。文化十年(一八一三)没、年七十八。主著、後は昔物語。景清百人一首。
てぐるま[輦車・手車] (名)牛でなく、人の手でひく屋形車。皇太子・親王・女御・大臣・僧正などの乗用。
てぐるまのせんじ[輦車の宣旨] (句)輦車に乗って宮中に出入することを勅許される旨の宣旨。源氏、桐壺「てぐるまの宣旨などのたまはせても」
てけ[天気] (名)てんき。ていけ。土佐日記「西東も見えずして、てけのこと、かぢとりの心にまかせつ」
てこ[手児] (名)「親の手に養われる子」の義。(1)年わかい女。少女。万葉、十四の三三九八「人みなの言(こと)は絶ゆとも埴科(はにしな)の石井のてこが言(こと)な絶えそね」(2)赤ん坊。みどりご。万葉、十四の三四八五「つるぎたち身にそふ妹をとりみかね哭(ね)をぞ泣きつるてこにあらなくに」
てごし[手越] (地名)「たごし」ともいう。駿河の国、静岡県安倍郡長田村の大字の名。安倍川の東岸の地。今は、静岡市に入る。旧鎌倉街道の宿駅。十六夜日記「今宵は手越という所にとどまる。謡曲、千手「かの千手の前と申すは、手越の長の娘にて候ふが、優にやさしく候ふとて」
てこな[手児奈] (人名)昔、葛飾の真間の入江のほとりに住んでいたという美人の名。ただし、「てこな」は「少女」の義ともいう。万葉、三の四三二「われも見つ人にも告げむ葛飾の真間のてこながおくつきどころ 山部赤人」
てこのよびざか[手児の呼坂] (地名)「たごのよびざか」と読む説もある。駿河の国、静岡県庵原郡の地名。蒲原の東にある七難坂などの古名であろうという。万葉、十四の三四四二「あづまぢのてこのよびざか越えかねて山にか寝むも宿りはなしに」逸文駿河風土記「女神…男神の名を呼びて叫ぶ。よりて、そこを名づけて、てこの呼坂とすと」
でしほ……シオ[出潮・出汐] (名)月の出ると供に潮の満ち来ること。
ていきん[庭訓] (名)父母の、子に教える言。家庭の教育。太平記、七、吉野城軍事「しばらく生きて宮の御先途を見はてまゐらせよと庭訓を残しければ」
てじまとあん[手島堵庵] (人名)江戸時代の心学者。名は信。通称は近江屋嘉右衛門。京都の人。石田梅巌の門人。天明六年(一七八六)没、年六十八。主著、我津衛・朝倉新話。
でじろ[出城] (名)本城から出張って、国境などに築いた城。つけじろ。出丸。
てだか[手鷹] (名)手飼いの鷹。
てだて[手立] (名)仕方。次第。手段。方法。
てだて[手楯] (名)手に持つ小さな楯。義経記、五、忠信吉野山合戦の事「楯の板をそへて射切り、雁股は手楯に立つ。」
てだま[手玉] (名)手につける装飾の玉。万葉、十の二〇六五「足玉も手だまもゆらに織る機(はた)を君が御衣(みけし)に縫い堪(あ)へむかも」
てだれ (名)「てだり」ともいう。技倆・技芸などのすぐれていること。腕のすぐれていること。うできき。てきき。平家、十一、那須与一「傾城を御覧ぜられむところを、てだれにねらうて、射落せとの諜とこそ存じ候へ」
てつがふテツガウ[手番ふ] (動、四)手揃う。揃う。太平記、三十三、京軍事「手番うたる勇士五騎」
てづから……ズカラ (副)自分の手で自分で。みづから。
てづくり……ズクリ[手作り] (名)(1)手でつくった布。手織りの布。万葉、十四の三三七三「多麻河にさらすてづくりさらさらに何ぞこの児のここだ愛(かな)しき」(この「多麻河」は武蔵の多摩川)(2)調布(つぎのぬの)(3)自分で作ること。手製。
ていきんわうらい…オウ…[庭訓往来] (書名)書簡文集。一巻。鎌倉時代末期の僧、玄恵の著。家庭教育上の訓誡を手紙文の体で十二か月に配してしるしたもの。室町時代から江戸時代にかけて、寺子屋などの教科書とし、また、習字の手本として大いに行われた。
てつげん[鉄眼] (人名)江戸時代の高僧。黄檗僧。大坂の瑞龍寺の開山。大蔵経の翻刻を企てたが、資金の集まるごとに飢饉に逢い、散じて貧民に施す。延宝六年(一六七八)ついに完成。天和二年(一六八二)寂、年五十二。
ていさつ[鉄札] (名)仏教で、冥附すなわち閻魔の庁で人間の罪悪を記入した鉄製の札または帳簿。謡曲、鵜飼「若年の昔より江河にすなどつてその罪おびただし。されば、鉄札数をつくし、金紙をよごすこともなく、無間の底に堕罪すべかつしを」
てづつ…ズツ (名)不器用。へた。紫式部日記「一といふ文字をだに書きわたし侍らず。いとてづつにあさましく侍り」
てなが[手長] (名)(1)手長島に住み、手の極めて長いと称せられる怪物。足長とともに、宮中の「荒海の障子」に描かれている。枕草子、一「荒海のかた、いきたる物の恐ろしげなる手長・足長をぞかかれたる」(2)饗応の時、配膳などをする人。また、中居(なかゐ)。
てにをは……オ…[天爾遠波] (名)文法でいう「助詞」に当たる語。「をことてん」から来た名称。⇒をことてん。
てのきは…キワ[手の際] (副)手の及ぶかぎり。力のあらんかぎり。平家、九、六箇度合戦「城の内の兵ども、手の際戦ひ」
てのび[手延び] (名)てぬるいこと。ておくれ。平家、八、瀬尾最期「瀬尾めを斬つて捨つべかりつるものを、手延びにしてたばかられぬることこそ安からね」
てのもの (名)(1)手に入った物。自己の所有に属した物。(2)得意のもの。おてのもの。(3)名ある料理の称。(4)その手に属する者。手下。組下。太平記、二、主上臨幸依レ非ニ実事一山門変議事「かくては、かなはじとや思ひけむ、同宿・手の者引きつれて六波羅へ降参す」
でばな[出花] (名)はじめの、すぐれてよいころ。特に茶の煮たて、または湯の注ぎたてで、香気のよいこと。諺「鬼も十七、番茶も出花」
てびと[手人] (名)はきものを作る人、または機を織る人など、技芸に従事する者。工匠。職人。雄略紀、七月七日「百済のたてまつる所の手末(たなすゑ)のてびとを将(ゐ)て大島にあり」

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