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は[端] (名)はし。きわ。枕草子、一「夕日、はなやかにさして、山のはいと近くなりたるに」=夕日が美しく照って、その夕日が山ぎわにずっと近づいたころに。(これ以外の解釈は、迂遠)
はいかいござん[誹諧御傘] (書名)五巻。江戸時代初期の俳諧師、松永貞徳の著。慶安四年(一六五一)刊。俳諧の用語をいろは順に排列し、その意義・用法・禁忌などを説明したもの。この本があれば、あめが下に句法を誤るものがあるまいとの意で「御傘」と名づけたものという。
はいかいさいじき[俳諧歳時記] (書名)四巻。滝沢馬琴の著。享和三年(一八〇三)刊。春・夏・秋・冬・雑に分けて、俳諧を詠む人の知るべき季語の意義や年中行事などの故実を示して、初学者の手引草としたもの。
はいかいしちぶしふ……シユウ[俳諧七部集] (書名)十二冊。佐久間柳居の編。元禄十一年(一六九八)成る。芭蕉およびその門下または他の俳人らの代表的俳句集である。「冬の日」「春の日」「あら野」「ひさご」「炭俵」「猿蓑」「続猿蓑」の七部の書をまとめたもの。後世、これに倣って、「其角七部集」「蕪村七部集」その他があらわれた。
はいかいじふろん…ジユウ…[俳諧十論] (書名)二巻。各務支考の著。正徳四年(一七一四)刊。俳諧について、師の芭蕉と論じたところを筆記した体で、俳諧の伝、俳諧の道、俳諧の徳、虚実の論、姿情の論など、十項にわたって述べたもの。
はいかいじゐん…イン[俳諧次韻] (書名)一巻。松尾芭蕉の著。延宝九年(一六八一)刊。芭蕉・其角・才丸・揚水の次韻で、七百五十二韻、二百五十句を収む。
はいかいたまもしふ……シユウ[俳諧玉藻集] (書名)一巻。谷口蕪村の編。文政五年(一八二二)刊。園女・捨女・秋色女・智月ら女流俳人数十人の句集。千代女の序文がある。
はいかいのれんが[俳諧の連歌] (名)室町時代の末に、山崎宗鑑や荒木田守武らの連歌師が起した、滑稽味を盛った連歌の称。略して「俳諧」ともいう。⇒はいかい。
はいかん[肺肝] (名)肺臓と肝臓と。転じて、心の奥底。心底。真心。曾我物語、五、呉越軍事「もろともに謀をめぐらし、会稽の恥をきよめばやと、肺肝を砕きてぞ悲しみける」
はいく[俳句] (名)「俳諧の発句」の義。江戸時代にも、ごく一部で用いた文献があるが、広く用いられるようになったのは、明治三十年ごろ、正岡子規の新俳句運動以来である。虚栗、序「俳句何須数世不見宗」
はいくわい…カイ[徘徊] (名)(1)何処へともなく歩き回ること。ぶらつくこと。うろつくこと。謡曲、鉢の木「雪は鵝毛に似て飛んで散乱し、人は鶴■を着て立つて徘徊す」(2)立ち寄ること。庭訓往来、五月「便宜を以て徘徊さるれば、もつとも本望なり」
はワ (助詞)(1)第三類、副助詞。各種の品詞に付いて、取り立てて区別する意をあらわす。「今は春なり」「かく思ひはせずや」「かく思ふは非なり」「美しくは思はずや」「美しきは月なり」「静かにはあらず」「静かなるは山里なり」「いかがはせむ」「ひとり行かせはせじ」「ひとり行かするはわろし」「聞きてはをれど耳に入らず」(2)第四類、終助詞。感動または詠嘆の意をあらわす。よ。わい。宇津保、俊蔭「これは大福徳におはしましなむ。かく暖かげにつきておはしますは」(「つきて」は「生まれついて」「様子をして」)
はいくわん…カン[稗官] (名)「小官」の義。昔、中国の王者が民間の風俗を知るために設けた官で、民間の出来事を探知して奏上する役目。「小説」の意の「稗史」は、ここに起る。
はいし[稗史] (名)前項参照。小説。もと、稗官が民間に起った出来事や噂や伝説を歴史風に書いたもの。俚言集覧「稗史=草双子やうのもののこと」
はいしつ[梅室] (人名)⇒さくらゐばいしつ。
はいしや[拝謝] (名)謹んで礼を述べること。
はいしやく[杯酌・盃酌] (名)さかもり。酒宴。
ばいしやく[媒妁] (名)男女縁組のなかだち。なこうど。
ばいじゆう[陪従] (名)貴人に従って行くこと。また、その人。従者。
はいしよ[配所] (名)罪人の流された所。徒然草、五段「顕基の中納言のいけひむ、配所の月、罪なくて見むこと、さもおぼえぬべし」=顕基の中納言がいわれたそうだが、「配所の月を、罪なくて見たい。」という気持、それはいかにも同感されることのようだ。
ばいしん[陪臣] (名)臣下の臣。またげらい。昔の大名は、天皇の陪臣。大名の家来は、将軍の陪臣。
はいす[拝す] (動、サ変)(1)頭を垂れて礼をする。また、拝舞する。源氏、桐壺「御ぞ奉りかへて、下りて拝し奉り給ふさまに、皆人涙をおとし給ふ」(2)官に任ずる。官を授ける。官に就く時、君前に拝することからいう。(3)拝見する。「玉顔を拝し奉る」
(助詞)(1)第二類、接続助詞。(1)活用語の未然形に付いて、仮定の条件をあらわす。「急がばまはれ」「新しくば買はむ」「静かならばよからむ」「善人ならばうそは言ふまじ」「行きたくば行け」(2)活用語の巳然形に付いて、既定の条件をあらわす。「かく雨の降れば行かざるなり」「水、清ければ魚も住まざるなり」「理由、明白なれば疑ふ余地なし」「かれは孝子なれば人にほめらる」(2)第三類、副助詞。「は」のにごったもの。「は(1)」に同じ。古事記、下「事の語り言も、是(こ)をば」万葉、一の一六「秋山の木の葉を見ては、もみぢをば取りてぞ賞(しの)ぶ、青きをば置きてぞ嘆く、そこし恨めし、秋山われは」「行かずんばあるべからず」
はいす[排す] (動、サ変)(1)おしひらく。「闥(たつ)を拝して入る」(2)おしのける。排斥する。(3)並べ置く。排置する。排列する。
はいす[配す] (動、サ変)(1)ひとしい。相当する。(2)配る。分配する。頒布する。(3)添え会わせる。対にする。「松に旭日を配す」(4)夫婦にする。めあわす。(5)流刑に処する。流す。「伊豆に配す」(6)隷属させる。下につかせる。
はいす [■す](動、サ変)裏うちをする。源氏、絵合「紙屋紙に唐の綺を■して」
ばいす[陪す] (動、サ変)つきしたがう。はべる。伴なう。
はいすう[拝趨] (名)走り赴くこと。また、貴人の前に進むこと。また、その家を訪うこと。
ばいせき[陪席] (名)目上の人と同席すること。
はいぜつ[廃絶] (名)すたれ、たえること。
はいぜん[配膳] (名)膳部を客に配り供すること。また、その役をする人。「輝虎配膳」
はいぜん[陪膳] (名)禁中で供御を奉る時、または武家の儀式の時などに、膳部の給仕をする人。源氏、桐壺「陪膳にさぶらふ限りは、心苦しき御けしきを見たてまつり嘆く」
はいぜんたり[沛然たり] (形動、ダリ)雨のさかんに降るさまにいう語。「豪雨沛然たり」「天、沛然と雨を降らす」
はい[枚] (名)夜討の軍隊などが声を立てないために、口にふくむ具。箸のようなものを口に横にふくみ、紐で頭に結ぶという。甲越軍記、初四「口に枚を啣み」
ばいた (名)下級遊女の称。売女。よたか。やほち。また、遊女を卑しめていう語。また、普通の婦人にも用いる。
はいたう…トウ[佩刀] (名)刀を腰に帯びること。また、その帯びた刀。「苗字・佩刀を許さる」
はいたか[鷂] (名)(1)「はしたか」ともいう。鷹の一種。宇津保、吹上、上「はいたかすゑて、御供の人は、青きしらつるばみ、葦毛の馬に乗りて、御鷹すゑたり」(2)自分では何の能もないのに、他の能ある者をわるくいうこと。また、その人。
はいだて[脛楯・佩楯] (名)鎧の具。甲冑の下に着け、膝から股の辺を被うもの。太平記、二十二、畑六郎左衛門事「大立揚の脛当を、脛楯の下まで引きこめて」
ばいていきんが[梅亭金鵞] (人名)江戸時代末期から明治の初期にかけての滑稽本作者。本名は瓜生政和(まさやす)。江戸の人。松亭金水の門人で、滑稽本最期の作者。明治二十六年(一八九三)没、年七十二。主著、滑稽本七偏人・人情本柳之横櫛。(いずれも、すこぶる下品な作品)
はいと[隼人] (名)はやびと。はやと。天武紀、十一年七月「大隅のはいとと阿多のはいとと朝廷(みかど)に相撲(すまひ)をとる。大隅のはいと勝ちぬ」
はいてう……チヨウ[廃朝] (名)天皇おんみずから朝に臨んで政をおとりにならないこと。諸司は平常の如くである。天皇の二等以上の近親および右大臣以上の喪には三日、三等の近親、三位以上の喪には一日の規定。天災・地変などの場合にも行われたことがある。
はいえつ[拝謁] (名)目上の人に面会することに用いる敬語。お目にかかること。まみゆること。
はいかい[俳諧・誹諧] (名)(1)滑稽。諧謔。ざれごと。駿台雑話、四、つれづれ草「多くは奇怪妄誕の談ならねば、俳諧・鄙陋の説なり。ひとつとして義理にわたることなし。せめてこの徒然草のほどの物も見当たらず候ふ」(2)「俳諧歌」の略。井蛙抄「俊成卿の和歌肝要に、俳諧は狂歌なり」(3)「俳諧の連歌」の略。(4)「俳句」または「発句」に同じ。俳諧の連歌のはじめの句、すなわち発句たる五七五を独立せしめたもの」
はいがい[沛艾] (名)「■■(はが)」の転音。あばれうま。駻馬。徒然草、百四十五段「きはめて桃尻にて、沛艾の馬を好みしかば、この相をおほせ侍りき」⇒ももじり。
はいかいいちえふしふ…ヨウシユウ[俳諧一葉集] (書名)二巻、九冊。芭蕉の俳句および俳文・紀行などを、古学庵仏兮、幻窓湖中の二人が集めたもので、芭蕉全集ともいうべきもの。文政十年(一八二七)刊。
はいかいうた[俳諧歌・誹諧歌] (名)(1)和歌の一体。滑稽味のある内容を、機知に富んだ用語で表現したもの。「万葉」にもあるが、「古今集」「後拾遺集」などには特に「誹諧歌」の部立を設けて、数十首を収めている。(2)「狂歌」の別称。

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