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に〔土〕 (名)「つち」の古語。古事記、上「その妻(みめ)、むくの木の実と赤にとを、そのひこぢに授けたまふ」
にがむ〔苦む〕 (動、下二)前項に同じ。源平盛衰記、四、豪雲僉議「鼻をにがむることに待るなり」
にひまなびニイ……〔新学・爾比末奈妣〕 (書名)一巻。歌論書。賀茂真淵の著。明和二年(一七六五)成る。初学者に対し、和歌の道を平易に説き、主として、万葉の古調に復すべきことを力説したもの。
にひまゐりヒイマイリ〔新参り〕 (名)新たに仕えた者。いままゐり。新参。
にひむろニイ……〔新室〕 (名)新たに作った家。
にぶいろ〔鈍色〕 (名)「にびいろ」に同じ。
にふだうニユウドウ〔入道〕 (名)仏道に入ること。また、その人。
にふぢやうニユウジヨウ〔入定〕 (名)(1)禅定に入ること。(2)出家の死をいう。入寂。入滅。
にぶにぶし〔鈍鈍し〕 (形、シク)きわめて鈍い。不明瞭である。
にふぶニユウ……〔入部〕 (名)その領内に入ること。特に、その地の領主が始めて我が領土に入ること。平家、一、鴨川合戦「先例にまかせて、速かに入部の押妨とどめよやとぞ申しける」
にぶむ〔鈍む〕 (動、四)にび色になる。にばむ。栄花、鶴林「世の中の十が九は、皆にぶみわたりたり。いはば、諒闇ともいひつべし」
にふめつニユウ…〔入滅〕 (名)仏教で、死することをいう。多くは、釈迦の死をいう。
にがむにがむ〔苦む苦む〕 (副)いやいやながら。しぶしぶ。大鏡、七、太政大臣道長「今ふたどころも、にがむにがむおのおのおはさうじぬ」=もうお二方も、しぶしぶ、おのおの出て行かれた。
にへニエ〔贄〕 (名)(1)昔、朝廷または神などに奉る種種の土産物、特に魚鳥の類をいう。古事記、上「しまのはやにへたてまつる時に」(2)人への贈り物。進物。
にへさなりニエサナリ (形動、ナリ)甚だしい。多い。神功紀、四十六年三月「わが国に、にへさにこのたからものあり」敏達紀、元年五月「天皇きこしめしていたみたまふこと極めてにへさなり」
にへすニエス〔饗す〕 (動、サ変)「にへ」は神の食物。食物を神に奉る。万葉、十四の三三八六「にほどりの葛飾早稲を饗すともその愛(かな)しきを外(と)に立てめやも」=今夜は、葛飾でとれた早稲の米を神に供するので、その儀式の間は、何人をも家に入れないのがきまりであるが、愛する人を、いつまでも家の外に立てておくことができましょうか。(「にほどりの」は「かつしか」の枕詞)
にへどのニエ……〔贄殿〕 (名)(1)大嘗祭の時、悠紀・主基の中にあって、神供を納める建物。(2)宮中、内膳司の内にあって、諸国から献じた贄を納める所。(3)貴人の家で魚鳥の類を貯え納めておく所。また、食物を調理する所。播磨風土記、賀古郡「贄殿を造る処、すなはち贄田村となづく」
にへののいけニエ……〔贄野の池〕 (地名)未詳。山城の国、京都府相楽郡にあるとも、綴喜郡にあるともいう。蜻蛉日記「急ぎもて行けば、贄野の池、泉川などいひつつ」枕草子、三「池は…にへのの池」更級日記「その山越えはてて、贄野の池のほとりへ行き着きたるほどに、日は山の端にかかりにたり」
にへびとニエ……〔贄人〕 (名)(1)贄にする魚や鳥などを捕る人。(2)転じて、召使の義。
ににほニホ〔鳰〕 (名)「かいつぶり」の古称。鴨に似て小さく、小鴨より大きく、常に水に出没し、藻や木の葉などを集めて水上に巣を作る。にほどり。
にほてるうみニオ……〔鳰照海〕 (地名)「琵琶湖」の異称。新後拾遺、秋下「山の名をわけても言はじ月影のにほてるうみも鏡なりけり」
にほてるやニオ……〔鳰照るや〕 (枕詞)前項参照。「志賀」「矢橋」等の地名に冠する。例を略す。
にほどりニオ……〔鳰鳥〕 (名)「にほ」を見よ。
にがる〔苦る〕 (動、四)「にがむ」に同じ。
にほどりのニホ……〔鳰鳥の〕 (枕詞)水に潜(かづ)くことから「かづく」「かつ」に、雌雄並ぶことから「ふたり並び」に、息が長いことから「息長河」に、水の上に浮いていることから「憂き」に、また、「足ぬらし」「なづさふ」等に冠する。古事記、中「にほどりの、あふみのうみに、かづきせなわ」万葉、十四の三三八六「にほどりのかつしか早稲をにへすとも」以下、例略。
にほのうみニオ……〔鳰の海〕 (地名)「琵琶湖」の異称。鳰が多くいることからいうか。また、湖畔にあった爾保の郷の名によるか。にほてるうみ。にほのうら。
にほのうらニオ……〔鳰の浦〕 (地名)前項に同じ。謡曲、白髭「志賀の山越えうち過ぎて、真野の入江の道すがら、鳰の浦風さえかへり」
にほはしニオワシ〔匂はし〕 (形、シク)匂いが高い。つやつやとして美しい。ほのかに良い。
にほひニオイ〔匂ひ〕 (名)(1)花などの色の美しく映えること。(2)おもむき。気品。源氏、桐壺「この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ」(3)光。威光。源氏、椎本「つかさ・くらゐ、世の中のにほひも何ともおぼえずなむ」(4)鍛え方によって、みがきあげた刀剣の刃の面に生ずるあや。(5)かおり。香気。
にほひがニオイ……〔匂ひ香〕 (名)におい。香気。源氏、竹河「打ちふるひ給へる匂ひがなど、世の常ならず」
にほひやかなりニオイヤカナリ〔匂ひやかなり〕 (形動、ナリ)輝くように美しい。源氏、桐壺「いと匂ひやかに美しげなる人の、いたう面痩せて、いとあはれと物を思ひしみながら」枕草子、五「匂ひやかなる方は、この大納言にもまさり給へるものを」
にほふニオウ〔匂ふ〕 (動、四)(1)花などが色美しく映える。詞花集、一、春「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな 伊勢大輔」(2)かおる。香気だつ。古今集、一、春上「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける 紀貫之」(梅の花のかおり)(3)光る。勢いづく。光彩が生ずる。源氏、蓬生「細やかに思しおきてたるに匂ひいでて宮の内やうやう人目見え」
にほやかなりニオヤカナリ〔匂やかなり〕 (形動、ナリ)「にほひやかなり」に同じ。枕草子、十二「いとほそう、にほやかなる独鈷(とこ)をとらせて」
にほん〔二品〕 (名)昔、親王の位階の第二位。親王の位は、一品から四品までであった。
にき〔二気〕 (名)陰陽の二気をいう。古事記、序文「二気の正しきに乗じて、五行の序をととのへ給ふ」
にほんえいたいぐら〔日本永代蔵〕 (書名)浮世草子。六巻。井原西鶴の著。元禄元年(一六八八)刊。町人立志伝の形式をとり、長者になる要訣と、失敗者になる原因とをとりまぜて三十編の物語を収む。別名、大福新長者教。
にほんぐわいし…ガイ…〔日本外史〕 (書名)史書。二十二巻。頼山陽の著。文政十年(一八二七)成る。源平二氏の時代から徳川氏に至るまでの武家時代史。文は漢文。広く行われた書。
にほんぎ〔日本紀〕 (書名)「日本書紀」の略称。
にほんこうき〔日本後紀〕 (書名)史書。二十巻。六国史の一。藤原冬嗣ら編。承和八年(八四一)成る。「続日本紀」に続けて、桓武天皇から淳和天皇に至る四十二年間の歴史。文は漢文。
にほんしよき〔日本書紀〕 (書名)史書。三十巻。六国史の一。舎人親王・太安万侶ら編。養老四年(七二〇)成る。神代から持統天皇に至るまでの歴史。文は漢文。別称、日本紀。古代史・古語の研究に不可欠の書。
にほんりやういき…リヨウ…〔日本霊異記〕 (書名)仏教的伝説集。三巻。奈良薬師寺の僧、景戒の著。弘仁十三年(八二二)ごろ成るか。正しくは「日本国現報善悪霊異記」という。仏教的因果の理を示し、修道に資する伝説百十二編を収む。
にようくわん……カン〔女官〕 (名)禁中に仕える下臈の女房の称。
にようご〔女御〕 (名)中宮に次いで御寝所に侍したもの。初めは四位・五位の間に過ぎなかったが、のちには女御から直ちに皇后となるに至った。源氏、桐壺「いづれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに」
にようばう……ボウ〔女房〕 (名)(1)禁中・院中などで一つの部屋(房)を賜って住む女官の称。源氏、桐壺「若宮の御恋ひしさのみおぼし出でつつ、したしき女房、御めのとなどをつかはしつつ、ありさまをきこしめす」(2)貴人に仕える女の称。(3)妻。(4)女。
にようほうことば…ボウ…〔女房詞〕 (名)昔、宮中の女房や大奥の女中などが、日常用いる飲食物や調度などの名称をあらわに呼ぶのを憚って、その頭の音をとり、それに「もじ」の語をつけて呼んだことば。「髪」を「かもじ」、「杓子」を「しやもじ」、「湯巻」を「ゆもじ」と言う類。
にき〔日記〕 (名)「日記(につき)」に同じ。土佐日記「男もすなるにきといふものを、女もしてみむとてするなり」
にようゐん……イン〔女院〕 (名)国母の、仏門に入られ、何何門院の号を贈られたお方の称。また、女御・内親王にもいう。十六夜日記「女子はあまたもなし。ただ一人にて、この近きほどの女院にさぶらひ給ふ」
によくどころ〔女工所〕 (名)大嘗会の時、悠紀方・主基方とともに、臨時に設ける司。増鏡、五、内野の雪「大嘗会のころ、信実朝臣といひし歌よみの女(むすめ)の少将内侍、大内の女工所にさぶらふに」
によくらうど…クロウ…〔女蔵人〕 (名)昔、禁中で、命婦に次ぐ下臈の女房。雑役に従う。源氏、紅葉賀「うねべ・によくらうどなど」
によくわん……カン〔女官〕 (名)「にようくわん」に同じ。
によぐわん……ガン〔如願〕 (人名)「ふぢはらのひでたふ」の法名。増鏡、三、ふぢ衣「むかしの秀能(ひでたふ)は、ありし乱れの後、頭おろして深く籠りゐたり。如願とぞいひける」
によじゆ〔女孺〕 (名)内侍司に属する下級の女官で、掃除・燈油などのことを司る。徒然草、百九十七段「定額の女孺といふこと、延喜式に見えたり」
によぜがもん〔如是我聞〕 (句)「かくのごとくわれ聞く」の意。経文の冒頭にある語で、所説の教法をそのまま信ずるとの意。
によでいにん〔如泥人〕 (名)「泥のような人」の義。しまりのない人。なまけもの。大鏡、三、太政大臣実頼「御心ばへぞ懈怠し、すこしは如泥人とも聞えつべくおはせし」
によぶ (動、四)「寝呼ぶ」の義。苦んで、うなる。歌などを苦吟する。によふ。竹取「によぶによぶ荷なはれて家に入り給ひぬるを」宇治拾遺、六、僧伽羅刹の国に行く事「或は死に、或はによぶこゑす」うけらが花、七、文詞「人人、心心に、歌によび出づれば、もだもあらず」⇒もだ。
によべつたう……トウ〔女別当〕 (名)斎宮寮および斎院司の女官の長。
にぎ〔二儀〕 (名)天と地と。また、陰と陽と。太平記、十六、日本朝敵事「それ日本開闢の始めを尋ぬれば、二儀すでに分かれ、三才漸く顕はれて」(「三才」は「天地人」)
によほふにニヨホウニ〔如法に〕 (副)(1)かたのごとく。(2)もとより。いうまでもなく。
によぼん〔女犯〕 (名)出家の身が女を犯すこと。
によらい〔如来〕 (名)「乗ニ如(○)実之道一来(○)、成ニ正覚一」の義で、仏の最美称。
によわう……オウ〔女王〕 (名)(1)女の王。(2)天子の孫女から、曾孫女および玄孫女までの称。
によゐん……イン〔女院〕 (名)「にようゐん」に同じ。
にらまふニラマウ〔睨まふ〕 (動、下二)「にらむ」の延音。にらむ。にらみつける。平家、二、座主流し「大のまなこを見いからし、前座主を、しばしにらまへ奉りて」
にれうちかむ (動、四)「うち」は接頭語。次項におなじ。徒然草、二百六段「官人章兼が牛はなれて…にれうちかみて臥したりけり」
にれがむ (動、四)反芻する。牛・羊などにいう。
ににわう…オウ〔二王・仁王〕 (名)寺院守護のために、寺門の両脇に相対して安置する密迹金剛(左)と那羅延金剛(右)と。金剛力士。佐佐醒雪の句「山門の仁王に迫る若葉かな」
にわうかうニオウコウ〔仁王講〕 (名)「にんわうゑ」に同じ。
にぎ〔和〕 (接頭)やわらかな、こまかい、精しい、修めととのえたなどの意を冠する。にご。「粗(あら)」の対。
にわじ〔仁和寺〕 (寺名)「にんなじ」に同じ。
にんがい〔人界〕 (名)人間の世界。じんかい。謡曲、安達が原「あさましや、人界に生をうけながら」
にんぐわい……ガイ〔人外〕 (名)人非人。ひとでなし。
にんじやうぼんニンジヨウ…〔人情本〕 (名)江戸時代の後期にあらわれた小説の一種。それまで行われた洒落本の洒落、滑稽本の滑稽を除いて、主として男女の情事を写したもの。中本。為永春水の「伊呂波文庫」「梅歴」の類。
にんず〔姙ず・妊ず〕 (動、サ変)妊娠する。はらむ。大鏡、七、太政大臣道長「今年は十九にぞならせ給ふ。姙じ給ひて、ななやつきにぞあたらせ給へる」
にんぢやう……ジヨウ〔人長〕 (名)神楽を奏する人の長。本末の各員を指揮し演奏せしめ、曲の終わるごとに、みずから起って舞う。枕草子、四「ここちよげなるもの…神楽のにんぢやう」
にんぢやう……ジヨウ〔人定〕 (名)「人の眠り定まる時刻」の意。亥の刻。今の夜の十時ごろ。
にんなじ〔仁和寺〕 (寺名)京都市右京区花園にある古義真言宗の本山。大内山仁和寺。古くは「にわじ」「にんわじ」ともいった。仁和四年(八八八)宇多天皇創建。法皇となられてここに住まわれたので「御室の御所」と称し、後も代代法親王が住まわれたので「おむろ」が「仁和寺」の別称ともなった。「むろ」は、僧の住舎の称。徒然草、五十二段「仁和寺にある法師、としよるまで、石清水を拝まざりければ、心うくおぼえて」
にんなのみかど〔仁和の帝〕 (天皇名)第五十八代、光孝天皇の御別称。その年号による。伊勢物語「昔、仁和の帝、芹川に行幸し給ひける時」古今集、五、秋上「仁和の帝みこにおはしましける時」
にんにく〔忍辱〕 (名)仏教で、もろもろの侮辱・苦痛・障害を耐え忍ぶこと。宇津保、俊蔭「しかあれば、忍辱の心を思ふともがらにあらず」
にぎあかがね〔和銅〕 (名)質のよい銅。続紀、元明天皇、和銅元年正月「東の方、武蔵の国に、おのづから成れるにぎあかがね出でたりとまをしてたてまつれり」
にんにくのころも〔忍辱の衣〕 (名)前項参照。「袈裟」の総称。太平記、十七、山門攻事「忍辱の衣の袖を結びて肩にかけ、降魔の利剣をひつさげて」
にんぴにん〔人非人〕 (名)人でなし。人外。大鏡、六、内大臣道隆「あはれの人非人やと申さまほしくこそありしか」
にんわう……ノウ〔人皇〕 (名)人でなし。人外。大鏡、六、内大臣道隆「あはれの人非人やと申さまほしくこそありしか」
にんわうかう…ノウコウ〔仁王講〕 (名)次項に同じ。
にんわうゑ…ノウエ〔仁王会〕 (名)昔、毎年三月および七月に、大極殿・紫宸殿・清涼殿などで、仁王護国般若経を講説する法会。にわうかう。にんわうかう。
にんわじ〔仁和寺〕 (寺名)「にんなじ」に同じ。大鏡、八「父宮は出家(すけ)せさせ給ひて、にんわじにおはしまししかば」
にぎしがは……ガワ〔饒石川〕 (地名)能登の国、石川県凰至郡剣地村にある川。今、「仁岸川」と書く。万葉、十七の四〇二八「妹に逢はず久しくなりぬ饒石河清き瀬ごとに水占(みなうら)はへてな」⇒みなうら。
にぎしね〔和稲〕 (名)籾を去った稲の実、すなわち米。籾のままである稲の実「あらしね」の対。
に〔丹〕 (名)「赤土」から起った語で、古代の赤い絵の具。赤い色。「にぬり矢」「に摺りの袖」方丈記「あやしきことは、かかる薪の中につき」
にぎたづ……ズ〔熟田津〕 (地名)■田津・柔田津・飽田津などとも書く。伊予の国。愛媛県温泉郡三津浜、古三津の海浜であろう。昔、道後温泉の船着場。万葉、一の八「■田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今はこぎ出でな 額田王」=熟田津で船に乗ろうと、月を待っていると、月も上がり、潮も程よく満ちて来た。さあ、漕ぎ出そうよ。(この「に」は「にて」「において」の意)
にぎたへ……タエ〔和妙〕 (名)織り目の細かい白い布。打ってやわらかくして晒した布。「荒妙」の対。祝詞、祈年祭「御服(みそ)は、明かる妙・照るたへ・和妙・荒妙に、ただへごと竟(を)へまつらむ」
にぎて〔幣・和幣〕 (名)「にぎたへ」の約。もっぱら「ぬきに用いる布。みてぐら。幣束。御幣。古事記、上「下枝(しづえ)に、白にぎて・青にぎてを取り垂(し)でて。
にぎははしニギワワシ〔賑ははし〕 (形、シク)(1)富み栄えている。ゆたかに富む。源氏、帚木「すべて、にぎははしきによるべきなり」(2)にぎやかである。陽気である。源氏、紅葉賀「楽の声のにぎははしきに」同、空蝉「にぎははしくあいぎやうづき、をかしげなるを」
にぎぶ〔和ぶ〕 (動、上二)やわらいでいる。馴れ親しんでいる。安んじている。万葉、一の七九「おほきみのみことかしこみ、にぎびにし家を捨て」
にぎほふニギオウ〔賑ほふ〕 (動、下二)にぎわう。にぎやかである。繁盛する。富み栄える。
にぎみたま〔和魂〕 (名)温和な神霊。「あらみたま」の対。神功紀、仲哀天皇、九年四月「和魂は王身(みみ)にしたがひて寿命(みいのち)を守らむ」祝詞、出雲国造神賀詞「おのれみことの和魂を、八咫の鏡に取りつけて」
にぎむ〔和む〕 (動、四)「にぎぶ」に同じ。
にぎめ〔和布〕 (名)「わかめ」の類。万葉、十六の三八七一「角島の瀬門のわかめは人のむた荒らかりしかどわがむたはにぎめ」肥前風土紀、三根郡「此の郷の中に井あり。名づけて米多井といふ。水の味鹹(から)し。むかしはにぎめ、この井の底に生ひたり」
にぐろし〔土黒し〕 (形、ク)土黒い。一説、鈍く黒い。古事記、中「わにさのにを、はつには、はだあからけみ、しばには、にぐろきゆゑ」=和邇坂の土を取って、その掘り始めの上土は、赤くて感心されず、下の土は、黒くてよくないから。
に〔瓊〕 (名)色の赤い玉。ぬ。神代紀、上「さやかにの五百箇みすまる」
にくわうざん…コウ…〔二荒山〕 (地名)「日光山」に同じ。もと、「ふたあら山」と称し、「二荒山」の字を当て、のち、「日光山」の字を当てたものであろう。奥の細道「卯月朔日、御山を詣拝す。往昔、この御山を二荒山と書きしを、空海大師開基の時、日光と改め給ふ」
にげなし〔似げなし〕 (形、ク)似つかわしくない。似合わない。ふさわしくない。源氏、桐壺「いと若うおはすれば、にげなく恥づかしとおぼいたり」
にげみづ……ミズ〔逃げ水〕 (名)武蔵野に見られると伝えられた現象で、遠くから見ると水の流れているように見えるが、近づくと遠くへ逃げてしまうという。これは、地面がいちじるしく熱しられている時に見える一種の蜃気楼で、どこにでも起る現象である。偽水面。夫木抄、二十六「あづま路にありといふなる逃げ水の逃げ隠れても世を過ごすかな」
にこ〔和・柔〕 (接頭)「にぎ」に同じ。⇒にぎ(和)
にこぐさ〔和草〕 (名)生えそめた、やわらかい草。一説、はこね草。万葉、十一の二七六二「芦垣の中のにこ草にこよかにわれと咲(ゑ)まして人に知らゆな」
にこぐさの〔和草の〕 (枕詞)草ということから「花」に、また、同音を重ねて「にこよか」に冠する。万葉、十四の三三七〇「にこぐさの花妻なれや紐とかず寝む」同、二十の四三〇九「にこぐさのにこよかにしも思ほゆるかも 大伴家持」
にこし〔和し・柔し〕 (形、ク)なごやかである。おだやかである。やわらかである。
にこで〔柔手〕 (名)やわらかい手。皇極紀、三年六月「むかつをに、たてるせらが、にこでこそ、わがてをとらめ、たがさきで、さきでぞもや、わがてとらすもや」=向こうの丘に立っている私の夫のやわらかい手こそ、私の手を執ることもあろうが、誰かのざらざらした恐ろしい手が私の手をお執りになったよ。
にこむ〔和む〕 (動、四)なごやかになる。やわらぐ。なごむ。崇神紀、十二年九月「天神地祗ともににこみて、風雨時にしがひ」
にこや (形動、語根)「にこやかなり」の語根。やわらかいこと。やわらかいもの。古事記、上「あやがきの、ふはやがしたに、むしぶすま、にこやがしたに、たくぶすま」=寝所に掛けてある綾絹のとばりのふわふわと靡く下に、暖かい夜具を敷き、やわらかい栲衾を着て。
に〔尼〕 (名)「比丘尼」の略。あま。「千代尼」
にこやかなり (形動、語根)「にこやかなり」の語根。やわらかいこと。やわらかいもの。古事記、上「あやがきの、ふはやがしたに、むしぶすま、にこやがしたに、たくぶすま」=寝所に掛けてある綾絹のとばりのふわふわと靡く下に、暖かい夜具を敷き、やわらかい栲衾を着て。
にこやかなり (形動、ナリ)ものやわらかである。おだやかである。にこにこしている。源氏、梅枝「にこやかなる方のなつかしさは、ことなるものを」
にこよかなり (形動、ナリ)前項に同じ。万葉、十一の二七六二「芦垣の中のにこ草にこよかにわれと咲(ゑ)まして人に知らゆな」
にごりみづ……ミズ〔濁り水〕 (枕詞)濁り水の澄むということから「住む」に冠する。拾遺集、十九、雑恋「雨降りて庭にたまれるにごりみづたがすまばかはかげの見ゆべき」(「かげ」に「鹿毛」と「影」とをかけている。詞書参照)
にし〔西〕 (名)「し」は「風」の義。「あらし」「ひむがし」などの「し」も「風」である。西方から吹いて来る風。恐らく「往(い)にし方から吹く風」の義であろう。古事記、下「やまとへに、にしふきあげて」=大和の方へ、西風が吹きあげて。
にしおもて〔西面〕 (名)「西面の武士」の略。鎌倉時代、院の御所の西面に伺候し守護する武士。「北面」の対。増鏡、二、新島もり「まいて、北面の下臈、西面などいふも、皆この方にほのめきたるは、あけくれ弓矢兵仗の営みより外の事なし」
にしごりのや〔錦織舎〕 (人名)村田春海の書斎の名から転じて、その号となる。⇒むらたはるみ。
にしとみ〔西富〕 (地名)相模の国、神奈川県藤沢の丘。今の藤沢市遊行寺の辺であろう。更級日記「にしとみといふ所の山、絵よくかきたらむ屏風を立てならべたらむやうなり」
にしのあるじ〔西の主〕 (名)西方浄土の主、すなわち阿弥陀仏の称。新六帖、一「わがたのむ西のあるじに契りけるけふのこよひの月のさやけさ」
にしのたい〔西の対〕 (名)「西の対の屋」の略。寝殿造の寝殿の西方にある対の屋。「東の対」の対。附図参照。
に〔弐〕 (名)大宰府の次官。大・少がある。「大宰の大弐」「大宰の少弐」
にしはちでう……ジヨウ〔西八条〕 (地名)京都の八条通りの朱雀大路から西の称。平清盛の邸のあった所。今の、京都市下京区八条町の辺。
にしはちでうどの…ジヨウ…〔西八条殿〕 (名)平清盛の邸。前項参照。平家、二、教訓「急ぎ、車を飛ばせて、西八条殿へぞおはしたる」
にじふいちだいしふ…ジユウ…ジユウ〔二十一代集〕 (書名)⇒ちよくせんわかしふ。
にじふいつし…ジユウ…〔二十一史〕 (書名)中国で、二十一種の主になる史書をいう。史記・前漢書・後漢書・三国志・晉書・宋書・南斉書・梁書・陳書・後魏書・北斉書、後周書・隋書・南史・北史・唐書・五代史・宋史・遼史・金史・元史。折り焚く紫の記、中、将軍継嗣御遺言「九月二十五日に召されて、二十一史をたまはりしは、つひの御かたみの物にと、はからはせ給ひたるなり」
にしやま〔西山〕 (地名)京都の西方にある山の汎称。嵯峨・嵐山方面の山山。「東山」の対。徒然草、百八十八段「京に住む人、急ぎて東山に用ありて既に行きつきたりとも、西山に行きて、その益(やく)まさるべきことを思ひ得たらば、門(かど)より帰りて西山へ行くべきなり」(「門」は「行った東山の家の門前」)
にしやまそういん〔西山宗因〕 (人名)江戸時代初期の連歌師・俳人。談林派の祖。名は豊一。通称は二郎作。別号は西翁・梅翁その他。肥後熊本加藤侯の臣。京都へ出て、諸家について連歌・俳諧を学び、のち、大阪で談林派の俳諧を起し、古風な貞門派に対立した。門人の一人に伊原西鶴を出す。天和二年(一六八二)没、年七十七。主著、談林十百韻・西翁十百韻・松島一見記。
にすり〔丹摺〕 (名)赤土・茜などで模様を摺ること。また、その摺られた赤色の衣。古事記、下「赤猪子が泣く涙に、その服(け)せる丹摺の袖、とほりてぬれぬ」
にせむらさきゐなかげんじ…イナカ…〔偐紫田舎源氏〕 (書名)合巻本。三十八編。柳亭種彦の作。「源氏物語」の翻案で、足利光氏を光源氏に擬して、その情事を描いたものであるが、実は将軍家斉の大奥を描いたなどといわれて筆禍を買い、次いで死亡により未完。文化十二年(一八一五)-天保十三年(一八四二)刊。
につくわう……コウ〔日光〕 (地名)「日光山」の略。下野の国、栃木県上都賀郡にあり、栃木県第一の高山。その麓に日光市がある。奥の細道「往昔、この御山を二荒山と書きしを、空海大師開基の時、日光と改め給ふ」⇒にくわうざん。
にて (助詞)第一類、格助詞。口語の「で」に当たる語。「都にて」「月の都の人にて」「やまひにて」「筆にて書く」
(助詞)完了の助動詞「ぬ」の連用形。新古今、三、夏「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすれふ天のかぐ山」
にでうけ…ジヨウ…〔二条家〕 (名)藤原為氏を祖とする和歌の家筋の称。為家(阿仏尼の夫)の子に、為氏・為教・為相の三子があり、それぞれ二条・京極・冷泉の家を立てた。にでうよしもと…ジ
ヨウ…〔二条良基〕 (人名)吉野時代の歌学者・連歌家。関白・太政大臣・摂政となる。頓阿を招いて和歌の復興をはかり、救済(ぐさい)を招いて連歌の興隆をはかった。元中五年(一三八八)没、年六十八。主著、菟玖玻集・近来風体抄・愚問賢注。(「愚問賢注」は頓阿との共編)
にでうよしもと…ジヨウ…〔二条良基〕 (人名)吉野時代の歌学者・連歌家。関白・太政大臣・摂政となる。頓阿を招いて和歌の復興をはかり、救済(ぐさい)を招いて連歌の興隆をはかった。元中五年(一三八八)没、年六十八。主著、菟玖玻集・近来風体抄・愚問賢注。(「愚問賢注」は頓阿との共編)
にな〔蜷〕 (名)「みな」の転。湖や川などに住む貝の汎称。形は「たにし」に似てやや細長い。川にな。
になし (形、ク)二つとない。比類がない。最上である。似ていない。源氏、若紫「残りのよはひゆたかに経べき、心がまへもになくしたりけり」伊勢物語「昔、男、身は賤しくて、いとになき人を思ひかけたりけり」
ににんびくに〔二人比丘尼〕 (書名)仮名草子、二巻。江戸時代初期の作者鈴木正三の作。寛文三年(一六六三)刊。年若くして戦死した下野の住人須田弥兵衛の妻が、夫の戦死の跡を弔うために旅へ出て草堂に旅寝した夜、多くの骸骨の乱舞するさまを夢見て、世の無常をさとり、ある比丘尼の弟子となり、大悟徹底して往生をとげるという筋。
にぬりや〔丹塗り矢〕 (名)赤土などで赤く塗った矢。古事記、中「そのをとめのかはやに入れる時、丹塗り矢になりて」
にのはし〔二の階〕 (名)二階級の位。増鏡、二、新島もり「文治元年四月、二の階をのぼりしも、八島の内の大臣宗盛をいけどりの賞と聞ゆ」(位二階級を越えて、従二位となる)
にのひと〔二の人〕 (名)一の人に次ぐ人。摂政・関白に次ぐ人。大鏡、七、太政大臣道長「世の二の人にておはしますめり」
にのまち〔二の町〕 (名)もと、宮中の局町で、一の町に次ぐ町。転じて、第二位。第二流。源氏、帚木「これは、二のまちの心安きなるべし」⇒つぼねまち。
(助詞)否定の助動詞「ず」の連用形の古形。万葉、二の二〇七「言はむすべ、せむすべ知らに、声のみを聞きてあり得ねば」(この場合は中止法を用いたもの)
にのまひ……マイ〔二の舞ひ〕 (名)(1)舞楽で、安摩(あま)の舞いという舞いの次に、そのまねをして舞う滑稽な舞い。大鏡、八「二の舞ひの翁にてこそ侍らめ」(2)転じて、人の失敗を、そのまま再びくりかえすこと。
にのまひのおもて…マイ…〔二の舞ひの面〕 (句)二の舞いにかむる面。色の赤い、恐ろしい相の面。徒然草、四十二段「二の舞ひの面のやうに見えけるが、ただ恐ろしく鬼の顔になりて」
にのまる〔二の丸〕 (名)城郭の一部で、本丸に隣る一郭。
にのみや〔二の宮〕 (名)その国の一の宮に次ぐ神社。
にのを……オ〔荷の緒〕 (名)荷を結ぶ緒。祝詞、祈年祭「陸(くが)より往く道は荷の緒ゆひかためて」
にのを……オ〔二の尾〕 (名)山の絶頂に次いで高い所。山腹より少し高い所。太平記、八、摩耶合戦事「大山の崩るるがごとく、二の尾より討って出でたりける間」
にはくなぶりニワ……〔庭くなぶり〕 (名)「せきれい」の古称。しきりに尾を動かして庭中に触れる義という。神代紀、上「時に、にはくなぶりあり。飛び来たりて、その首尾をゆるがす」
にはすずめニワ……〔庭雀〕 (枕詞)庭に下りた雀のさま、および「すずめ」の類音から「うずすまり」に冠する。古事記、下「にはすずめうずすまりゐて」⇒うずすまる。
にはたたきニワ……〔庭たたき〕 (名)「せきれい」の異称。⇒にはくなぶり。
にはたづみニワタズミ〔行潦〕 (名)降雨のため、俄かに地上にたまって流れる水。「俄立水」または「俄泉」の義かという。古事記、下「にはたづみあか紐にふれて」
(助詞)(1)第一類、格助詞。(1)場所・方向・時を示す。「ここにあり」「日、西に沈む」「五時に起く」(2)「にて」「において」の意を示す。「にぎたづに船乗せむと月待てば」(3)動作の目的を示す。「魚を釣りに行く」(4)相手となる事物を示す。「君に捧ぐ」(5)「に関して」の意を示す。「地理にくはし」(6)並列を示す。「と」に同じ。「梅に桜に桃に」(7)重ねた動詞の間に置いて意を強める。「吹きに吹き、降りに降る」(2)第ニ類、接続助詞。活用語の連体形に付いて逆態の接続をする。のに。「日、暮るるに、宿るべき家なし」「風も無きに、花しきりに散る」「かく美麗なるに、何故いとふや」「急ぎ行きたるに、間に合はざりき」ただし、古くは「なく」に付いた。「蒔かなくに何をたねとて」「火にも水にも、われなけなくに」(3)第四類、終助詞。活用語の未然形に付いて、願望の意を示す。万葉、五の八〇一「家に帰りて業(なり)をしまさに」⇒なり(業)。
にはたづみニワタズミ〔行潦〕 (枕詞)前項参照。その流れることから「流るる」に、流れる先の不明なことから「ゆくかたしらぬ」に、濁っているので「すまぬ」に、また、泡沫が生ずるので「うたかた」などに冠する。例を略す。
にはつとりニワ……〔庭つ鳥〕 (枕詞)「つ」は「の」の義。庭の鳥、すなわち鶏のことで、「かけ」に冠する。「かけ」は鶏の古称。古事記、上「にはつとりかけは鳴く」⇒かけろ。
にはなひニワナイ〔新嘗〕 (名)「にひなめ」に同じ。
にはなへニワナエ〔新嘗〕 (名)前項に同じ。
にはにたつニワ……〔庭にたつ〕 (枕詞)庭に生える麻ということから「麻」に冠する。万葉、十四の三四五四「庭に殖(た)つ麻布小衾(あさでこぶすま)こよひだに夫(つま)よし来せね麻布小衾」(「麻布小衾」は「麻布製の夜具」)⇒あさで。
にはのはいニワ……〔庭の拝〕 (名)庭上で拝舞すること。特に、大饗の時、昇殿の前に、まず中庭で行う拝舞。
にはびニワ……〔庭火〕 (名)庭上で焚いて明かりとする火。特に、禁中や賀茂の祭の神楽の時、庭上で焚くかがりび。枕草子、七「庭火のけぶりの細うのぼりたるに、神楽の笛のおもしろうわななき、細う吹きすましたるに」
にばむ〔鈍む〕 (動、四)にび色になる。源氏、葵「にばめる御衣奉れるも夢のここちして」
にはもせにニワ……〔庭もせに〕 (副)「もせに」は「も狭くなるほどに」の意の副詞をつくる接尾語。庭も狭くなるほどに。詞花集、一、春「庭もせに積もれる雪と見えながらかをるぞ花のしるしなりける 花園左大臣」
にび〔鈍〕 (名)次項の略。枕草子、四「あるかなきかなる薄にびども」
にがむ〔苦い〕 (動、四)苦い顔をする。いとう。いやがる。源氏、帚木「御物語きこえたまふを、暑きにとにがみ給へば、人人わらふ」(この暑いのにと、顔をしかめる)
にびいろ〔鈍色〕 (名)薄いねずみ色。喪服に用いる色。いろ。にび。源氏、若紫「にび色のこまやかなるが、うちなえたるどもを着給ひて」
にひくはまゆニイクワ…〔新桑繭〕 (名)その年の初まゆ。
にひくはまよニイクワ…〔新桑繭〕 (名)前項に同じ。
にひたやまニイタ……〔新田山〕 (地名)上野の国、群馬県新田郡太田の金山をいう。万葉、十四の三四〇八「新田山嶺(ね)には着かなな吾(わ)によそり間(はし)なる児らしあやに愛(かな)しも」(「よそり」は「寄りそい」)
にひなへニイナエ〔新嘗〕 (名)「にひなめ」に同じ。
にひなへやニイナエ…〔新嘗屋〕 (名)新嘗をするために、特に新しく造った浄屋。古事記、下「にひなへや」
にひなめニイ…〔新嘗〕 (名)「にひなめのまつり」「にひなめさい」ともいう。天皇の新穀を召し上がり給うとき、まずこれを天神・地祗に供し給う祭儀。にはなひ。にはなへ。にひなひ。にひなへ。
にひばりニイ……〔新墾〕 (名)新たに開墾すること。また、その田畑や道路。万葉、十二の二八五五「にひばりの今作る路さやかにも開きてけるかも妹が上のことを」
にひばりニイ……〔新治〕 (地名)古くは国名であったが、大化の改新の時、郡となり、常陸の国に属した。古事記、中「にひばり・・つくばをすぎて、いくよかねつる 日本武尊」=新治や筑波の地を過ぎて、ここ(甲斐の酒折)まで来るのに幾夜寝たであろうか。
にひまくらニイ……〔新枕〕 (名)男女がはじめて枕をかわすこと。伊勢物語「あらたまの年の三年(みとせ)をまちわびてただ今宵こそにひまくらすれ」

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